三菱ケミカルグループは7日、2023年3月期第3四半期決算発表説明会をWebで開催し、中平優子最高財務責任者CFOが、カナダのメディカゴ社全事業撤退に伴う同社ワクチン事業の位置づけについて、「メディカゴ社の撤退と国内ワクチン事業は直接関係はない」と断言。その上で、「今後も国内ワクチン事業が重点事業となるのは変わらない」との方針を強調した。
小林義弘ファーマビジネスグループ戦略本部長も「グローバルでのワクチン事業展開は、現時点ではメディカル社の撤退によりできなくなった。グローバルでは、ラジカヴァ経口剤(ALS治療薬)と中枢神経系を中心に拡大していきたい」との考えを示した。
三菱ケミカルグループヘルスケア事業の2023年3月期第3四半期の業績は、売上収益1196億円、コア営業利益154億円となった。中平氏は、「薬価改定による影響を数量の伸びとコスト削減により補い、139億円の増率となった。北米では、ラジカヴァ経口剤が強い立ち上がりを示している。ステラーラなど重点医薬品の販売も伸長している」と説明した。
同事業におけるコスト削減についても「業務効率化や一部拠点の統廃合など順調に実施している」と指摘。ジレニアのロイヤリティ収入はノバルティス社との係争が継続しており、「ロイヤリティ収入の一部は収益に計上していない」
なお、メディカゴ社撤退の生産関連損失は480億円(固定資産減損413億円、のれん減損60億円、MTHCののれん減損8億円)。
ジョンマークギルソン代表執行役社長CEOは、「ヘルスケア事業を三菱ケミカルグループの柱の一つとする位置づけ方針は、従来と変わりはない」と断言。中平氏は、「3つの重点領域(中枢神経、免疫、ワクチン)に集中し、成長していく」戦略を強調した。