大阪府薬剤師会は8日、大阪市内のホテルで定例記者会見を開催し、乾英夫会長が22日に緊急承認された新型コロナ経口治療薬「ゾコーバ」について言及。「11月26日から、パキロビッドの調剤実績のある薬局から供給がスタートしている。コロナの第8波を迎えており、国産初の治療薬ということで期待したい」と強調した。
また、厚労省が5日に新型コロナとインフルエンザの同時検査キット(富士レビオ)を、一般用検査薬として初めて承認したことにも触れ、「まだ市場には出ていないが、年内には間違いなく供給される。薬局が、コロナの感染拡大に供給できるツールができた」との考えを示した。
国産初の新型コロナ治療薬「ゾコーバ」は、これまでのコロナ治療薬と同様に厚労省が買い上げて、予め都道府県においてリストされた医療機関・薬局に配分される。大阪府内においても、11月22日よりパキロビットの調剤実績のある162薬局への配分を完了し、約2週間後から配布薬局を拡大していく。1薬局40人分まで発注できる。
乾氏は、「新型コロナは第8波を迎えており、大阪でも感染者は5000人を超え、これから増加するものと予測される」と指摘し、「こうした中、ゾコーバは、少しずつ調剤されている。国産初の新型コロナ経口治療薬ということで期待したい」と言い切った。
新型コロナとインフルエンザの同時検査キットの一般用検査薬として承認については、「コロナの医療用抗原定性検査キットが提供できるようになり、OTC化された。本年12月5日には、新型コロナとインフルエンザの同時検査キットがOTC化され、薬局が感染拡大に貢献できるツールが増えた」と断言。「年末年始に向けて、薬局においてもしっかりと新型コロナ感染に対応していきたい」と訴求した。
一方、2020年12月の小林化工の不祥事から端を発した後発品を中心とする医薬品不足については、「国が施策を打ってもう少し改善すると思ったが、この2年間安定供給への努力が続いている。大半の薬局への医薬品供給がうまく行っていない」と報告した。
その根拠となるのが、大阪府薬が11月18日~30日までの間、薬局会員を対象に実施した「医薬品の流通状況アンケート」の調査結果だ。
大阪府下3534薬局のうち47.7%に当たる1686薬局が回答したもので、「希望通り医薬品が供給されている」と答えたのは0.12%、わずか2薬局に過ぎない。
昨年との比較では、「改善された」11.8%、「変わらない」44%、「悪くなった」44%と、全体的には悪化している。後発品使用率は、「下降している」31%、「上昇している」27%、「変わらない」41%。
フリーワードでは、「患者側の不利益により不信感、不安感を抱かせた」、「国の施策が間違っていて、後発品使用を推進されても供給できない」などの意見が寄せられた。
来年1月からの電子処方箋導入に向けての対応では、堀越博一常務理事が「必須となるオンライン資格認定の運用段階まで進んでほしい。それと並行して、管理薬剤師にはHPKI(薬剤師資格証)の取得を大阪府薬からお願いしている」と報告した。
また、大阪府薬剤師連盟会長の尾島博司氏は、来年の統一地方選挙に自民党から大阪市会議員選挙に大阪市中央区から立候補予定の鈴木理恵氏を紹介した。
帝京大学薬学部卒の薬剤師で、大阪府薬理事でもある鈴木氏は、「中央区には、薬の街、道修町がある。また、最先端医療や、専門性の豊かさを始めとする特色ある4大病院があり、大阪府下からの患者さんも多い」と地域の特性を紹介。
その上で、「中央区でのさらなる医療連携、介護連携をより強固なものにしていきたい。現役薬剤師が活躍するためにも市政にしっかりと入り込んで取り組んでいきたい。そのために皆様の支援をお願いしたい」と呼びかけた。