GARDPと化合物の抗菌活性試験実施に関する契約締結 住友ファーマ

 住友ファーマは22日、GARDP(本部:スイス・ジュネーブ)と、化合物の抗菌活性試験実施に関する契約を締結したと発表した。
 同契約締結に伴い、抗菌活性を有する新たな化合物発見を目指して、住友ファーマの化合物ライブラリーを用いた GARDPによる抗菌活性試験(スクリーニング)が実施される。
 今後、住友ファーマから提供された化合物のスクリーニングは、韓国パスツール研究所で最適化されたハイ・スループット・スクリーニング(化合物を高効率で選別する技術)を用いて行われる。
 同契約により、新規抗菌薬の開発と抗菌薬への持続可能なアクセスの担保により、深刻な細菌感染症に立ち向かう GARDP の取り組みを推し進める。
 深刻な細菌感染症に対して、開発中の抗菌薬はわずかであり、薬剤耐性(AMR)の脅威は今や全世界的な公衆衛生上の大きな課題となっている。薬剤耐性の感染症で毎年130万人近くの人々が命を落としている。重症細菌感染症の中でも、特にグラム陰性菌感染症は WHOにより世界的な公衆衛生上の優先課題として特定されている。
 同プロジェクトでは、住友ファーマが有する最新の創薬化学を駆使して蓄積された化合物ライブラリーから、これまでに抗菌活性スクリーニングが行われていない化合物のスクリーニングを行う。抗菌活性スクリーニングの対象となるのは、WHO が公表した「優先的に対処すべき病原菌」リストにおいて新たな抗菌薬の開発が急務とされた細菌である。
 GARDPは、同スクリーニングを通じ、次の開発段階に進むべき新たな化合物を選定することを目指す。

◆GARDPサイエンティフィック・ディレクター、ローラ・ピドック教授のコメント
 新規化合物へのアクセスは、私たちに多くの可能性をもたらす。本契約を通じ、住友ファーマの化合物ライブラリーから新たな抗菌薬を発見できるチャンスに恵まれたことに大変感激している。
 GARDPのスクリーニング戦略に基づき、この2年という短期間で、10万超の化合物と天然抽出物のスクリーニングに成功した。 私たちは、新しい抗菌薬の特定に着実に近づいている。

◆志水勇夫住友ファーマ執行役員シニアリサーチディレクター(博士)のコメント
 住友ファーマは、CSR 経営の重要課題としてグローバルヘルスへの貢献を掲げている。世界で最も汎用されているカルバペネム系抗菌 薬のひとつであるメロペネムの創製企業として、とりわけ薬剤耐性は国際的に取り組むべき重要な社会課題と認識しており、その取り組みの一環としてカルバペネム耐性菌感染症治療薬 KSP-1007(新規 β-ラクタマーゼ阻害薬)を米国で開発している。
 今回、GARDPが実施する抗菌活性スクリーニングに住友ファーマの化合物ライブラリーとこれまでの感染症研究のノウハウを通して貢献できることを大変嬉しく思う。

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