早稲田大学の中垣隆雄教授らの研究グループは19日、大気からCO2を効率的に回収・固定化する 新たな風化促進技術“A-ERW”の開発を目指すと発表した。
カーボンニュートラル達成のため、岩石を粉砕・散布し、風化の過程(炭酸塩化)のもとで大気中のCO2を回収・固定化していく風化促進技術が注目されている。だが、その活動による炭素収支の定量化、実際の固定化量の測定が不十分であった。
新技術A-ERWは、適用地域の土地に適した方法で風化促進を行うことで、①大気中のCO2を除去、②地域に資源循環・コベネフィットをもたらすーの双方を同時に実現することが可能だ。
岩石ごとの鉱物化率をデータ化・蓄積し情報基盤を整備することで、精度の高い炭素会計LCAを国内外に示し、日本発となる炭素会計の方法論の国際的コンセンサス醸成を目指す。
A-ERWの開発は、中垣教授をPM(プロジェクトマネージャー)とし、三菱重工エンジニアリング、北海道大学、および京都府立大学のグループにより提案されたもの。新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)によるムーンショット型開発研究事業「ムーンショット目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」において、プロジェクト「岩石と場の特性を活用した風化促進技術“A-ERW”の開発」として採択された。
気候安定化とカーボンニュートラルに必要不可欠なNegative Emission Technologies (NETs)として、日本の岩石との散布場の特性を生かし、大気からCO2を効率的に回収・固定化する先進的な風化促進技術“A-ERW”を開発。さらに、実環境場での試験を通じたデータを基に、炭素会計LCAのエビデンスとして情報基盤を整備して、国内外に発信するとともに国際認証の取得を目指す。