アッヴィは11日、リサンキズマブ(スキリージ)について、中等症以上の成人クローン病治療薬として承認を推奨する肯定的見解を、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)より得たと発表した。
適応症は、既存治療または生物学的製剤で効果不十分、効果減弱または不耐容であった中等症から重症の活動性クローン病を有する成人患者。
今回のの承認申請は、ADVANCE試験およびMOTIVATE試験(寛解導入療法試験)ならびにFORTIFY試験(維持療法試験)による3つのP3相試験の結果に基づいている。
3試験いずれにおいても、主要評価項目である内視鏡的改善および臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、リサンキズマブの投与群で有意に高い結果となった。
寛解導入療法試験であるADVANCE試験およびMOTIVATE試験のリサンキズマブ600mg静脈内投与群では、プラセボ群と比較して12週時にこれらの評価項目について統計学的に有意な改善が認められた。
さらに、維持療法試験であるFORTIFY試験において、52週時に内視鏡的改善および臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、プラセボ群(リサンキズマブによる寛解導入療法の後にプラセボを投与)と比較してリサンキズマブ360mg皮下投与群で有意に高い結果となった。
クローン病に対するリサンキズマブの安全性に関する結果は、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性のリスクは認められなかった。
EUでは、クローン病に対するリサンキズマブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性について規制当局による評価中である。リサンキズマブは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で、アッヴィが世界的に開発と販売を主導している。
◆ルーヴェン大学病院消化器・肝臓内科のMarc Ferrante, M.D., Ph.D.のコメント
クローン病を抱えて生きることには多くの困難が伴う場合があり、患者さんの健康に関連する生活の質に大きな影響が及ぶ可能性がある。リサンキズマブは、中等症から重症の活動性クローン病を有する成人患者さんにとって、有望な治療選択肢になりうると考えられ、欧州委員会の最終決定を心待ちにしている。
◆Neil Gallagherアッヴィvice president兼 development, chief medical officer(M.D., Ph.D.)のコメント
我々は、内視鏡的改善および臨床的寛解という2つの主要評価項目を初めてP3相試験で報告したときのような、より説得力のある革新的な試験デザインを通して、免疫介在性の消化器疾患の治療に関する研究水準をこれからも引き上げていく。今回、リサンキズマブがクローン病の治療薬としてCHMPの推奨を得たことで、生活に支障をきたしうる困難なこの疾患に対し、患者さんが十分なコントロールを得られるようお手伝いができる状況に近づいている。