武田薬品は29日、「非臨床段階からの創薬活動におけるペイシェント・エンゲージメントのためのガイドブック(改訂第二版)」を作成し、一般公開したと発表した。
同ガイドブックは、ペイシェント・エンゲージメント(患者さんとの協働)の必要性を認識し、患者と協働しながら創薬活動を進めていきたいという想いを同じくする第一三共と協力して作成したもので、創薬活動における患者の参画を促すための指針がまとめられている。
近年、患者の声を取り入れ、患者と共に非臨床研究や臨床試験を進めるペイシェント・エンゲージメントの重要性が認識され、産官学において実践する動きが日本でも少しずつ広がり始めている。
例えば非臨床研究の早い段階で患者に直接、疾患の影響で引き起こされる日常生活での困りごとを伺うことで、投与経路(経口や静脈内注射等)やその利便性等を確認するなど、今まで認識することが難しかった患者ニーズにより即した新規候補物質の方向性決定が可能になる。
とはいえ、現在、医薬品の臨床試験以降の段階での患者の参画と比べ、非臨床研究段階からのペイシェント・エンゲージメントに関しては世界的に見ても黎明期にあり、各製薬会社が試行錯誤をしながら進めているのが現状だ。
そこで、武田薬品PCET(Patient Centricity Expansion Team)は、第一三共のCOMPASS(Compassion for Patients Strategy)と協力し、製薬企業研究者が非臨床研究段階からのペイシェント・エンゲージメントを実施する際に遵守すべき制度やルールを明確化するとともに、今までの活動事例をもとに具体的な遂行方法や実施時の留意点をまとめたガイドブックを作成した。
2021年4月に初版を刊行して以来、両社内はもちろん、希望する他の製薬企業や患者支援団体等にも同ガイドブックを共有し、様々な意見・要望を聞き、第二版ではこれらの声を反映している。
武田薬品は、同ガイドブックをより広く公開することで、より多くの人の目に留まり、幅広い意見を得ながらさらる改善に繋がることを期待している。
同ガイドブックが日本におけるペイシェント・エンゲージメントの推進の一助となるべく、第一三共と共に取り組んでいく。
同ガイドブックの内容に関する問い合わせ先は、武田薬品(PCET 事務局): smb.Pcet@takeda.comまで。