参天製薬とバイエル薬品は26日、バイエル薬品が申請していた眼科用血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤「アイリーア」について、未熟児網膜症(ROP、retinopathy of prematurity)の適応追加承認を取得したと発表した。日本国内でのアイリーアの販売は参天製薬が行い、同剤の製造販売承認はバイエル薬品が保有し、医薬品情報提供活動は両社が共同で実施する。
アイリーアは、これまでに、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫および血管新生緑内障の適応を日本国内で取得しており、今回の ROP は 6 つ目の適応となる。
今回の承認は、日本人を含むROP患者を対象としたアイリーアの硝子体内投与による有効性および安全性を検討した国際共同P3試験(FIREFLEYE 試験)結果に基づくもの。同試験結果は、医学誌ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)に掲載された。
ROPは、未熟児の網膜に発現する血管疾患で、小児における視覚障害や失明の原因疾患の一つである。国内の患者数は年間約5000 名と報告されており、軽度のROPは自然に治癒するが、重度のROPは適時の治療を必要とする。
◆東範行日本小児眼科学会理事長のコメント
周産期医療が発達したことで、より多くの未熟児の命が助かるようになり、ROP の症例数が増え、重症例も増加している。ROP は、重篤な視力障害や失明にいたる可能性がある疾患で、適時の治療が非常に重要である。
既存の治療に加えて、アイリーアが新たな選択肢として加わるのは、患者さんと医療従事者にとって有益であると思う。