タグリッソ 非小細胞肺がん術後補助療法P3試験で好結果 アストラゼネカ

 アストラゼネカは20日、タグリッソについて、P3相ADAURA試験の最新結果として、EGFR変異陽性患者の非小細胞肺がん患者(NSCLC)において術後補助療法の無病生存期間の中央値を 5.5 年に延長したと発表した。
 プラセボとの比較で、根治目的に腫瘍を完全切除した早期(ステージ IB、II および IIIA)上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん患者の術後補助療法として、臨床的に意義のある無病生存期間(DFS)の延長を示したもの。
 相試験の最新結果は、9月11日、パリで開催された2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。
 2020年の解析/報告から追跡期間が2年追加されたことにより、すべての患者が3 年間の術後補助療法を完了したデータとなっている。
 タグリッソは、疾患再発または死亡のリスクを主要評価項目の対象となる患者群(ステージ II-IIIA)においては 77%(ハザード比 0.23:95%信頼区間:0.18-0.30)、副次評価項目である全患者群(ステージ IB-IIIA)においては 73%(ハザード比 0.27:95% 信頼区間:0.21-0.34)減少させました。タグリッソ投与群では主要評価項目(ステージ II-IIIA)と副次評価項目(ステージ IB-IIIA)のいずれにおいてもDFSの中央値が約 5.5 年(65.8 カ月)であったのに対し、プラセボ投与群では主要評価項目となる患者群で21.9 カ月、全患者群で28.1カ月であった。
 NSCLC患者全体のおおよそ30%が、根治が期待される切除可能な早期 NSCLC と診断されるが、依然として術後に再発することが課題で、これまでに、ステージ I-II と診断された患者さんの半数近く、およびステージIIIと診断された患者さんの75%が、5年以内に再発を経験していると報告されている。
 事前に規定した探索的解析では、タグリッソがステージII-IIIAの患者の中枢神経系(CNS:脳および脊髄)における再発のリスクを 76%減少したことが示された(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.14-0.42)。
 また、4年経過した時点で、CNSにおいて再発しなかった患者の割合は、タグリッソ群では 90%(95%信頼区間:85-94%)であったのに対し、プラセボ群では 75%(95%信頼区間:67-81%)であった。CNS における再発とは、腫瘍の脳または脊髄への転移を指し、特に EGFRm NSCLC において高頻度に認められ、予後不良と関連している。

◆ADAURA試験の主任研究者である坪井正博氏(国立がん研究センター東病院呼吸器外科長)のコメント
 ADAURA試験の最新結果から、タグリッソによる術後補助療法が、早期 EGFR 遺伝子変異陽性肺がん患者さんの術後の無病生存期間を引き続き延長するだけでなく、中枢神経系で腫瘍が再発するリスクも変わらず減少させることが示された。
 今回の結果は、術後の標的治療の選択肢がなく、高い再発率に直面してきた早期肺がん患者さんにとって、タグリッソによる術後補助療法が標準治療となり得ると期待している。

◆Susan Galbraithアストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 わずか2年前には、早期 EGFR 遺伝子変異陽性肺がん患者さんの術後における標的治療の選択肢がなかったことを考えると、今、世界中の患者さんがタグリッソによる術後補助療法が受けられ、さらに脳および脊髄への再発を回避できるというベネフィットを享受するのは大変素晴らしい。
 ADAURA 試験における OS データが揃い、いずれ試験完了を迎えられることを心待ちにしている。アストラゼネカの早期肺がんに対する研究と患者さんへのコミットメントは、術後治療期間の延長と、より早期におけるタグリッソの術後補助療法としての潜在的な可能性を探索する本剤の幅広い研究プログラムを通じて続いていく。

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