デジタル庁主管「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業」事業者に採択 シミック

 シミックは16日、デジタル庁の委託を受けNTTデータ経営研究所が実施する「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業」において、Keychain(本社:シンガポール)とのコンソーシアムで事業者として採択されたと発表した。
 同事業においてシミックとKeychainは、臨床試験及び医療現場における機密性の高い医療情報を関係者で共有する際、旧来の紙での運用や個別のシステムに依存せず、リーズナブルで且つ情報の信頼性を担保するシステムを設計し、関係者間で医療情報をタイムリーに共有できる環境の構築を目指して共同で検討してきた。
 シミックとKeychainは昨年より臨床試験等におけるブロックチェーン技術の活用について継続的に議論を進めており、同事業における実際の開発及びコンセプト企画はシミックが行う。
 一方、Keychainは、Keychain Core SDK(ブロックチェーン技術をベースとするKeychain独自のツール及びソフトウェアライブラリ)の提供及び開発コンサルテーションを行う。

Keychain Core 主要機能
開発コンセプト


 政府は2020年10月、内閣官房デジタル市場競争本部に「Trusted Web推進協議会」(座長:村井純慶應義塾大学教授)を設置し、インターネット上で新たな信頼の枠組みの構築を目指す「Trusted Web」の実現に向けた検討を進めている。
 「Trusted Web」は、デジタル社会における様々な社会活動に対応するTrustの仕組みをつくり、多様な主体による新しい価値の創出の実現を目的としている。
 Trustの仕組みは、特定サービスに過度に依存せず、ユーザ(個人又は法人)自身が自らに関連するデータのコントロールを可能とする。加えて、データのやり取りにおける合意形成の仕組みを取り入れ、その合意の履行のトレースを可能としつつ、検証(verify)できる領域の拡大により、Trustの向上を目指すものだ。
 「Trusted Web」は、日本経済団体連合会(経団連)を含め、日本が推進するDFFT(Data Free Flow with Trust、信頼性のある自由なデータ流通)の実現に資するものと期待されている。

 シミックとKeychainが実施する事業概要は、次の通り。
◆ユースケース名:臨床試験及び医療現場における信頼性及び応用可能性の高い情報流通システム

◆コンソーシアム名: ヘルスケア情報流通システム開発コンソーシアム

1、背景
 臨床試験及び医療業界では、現在においても重要な情報及びプロセスが紙媒体に記録されていることが多く、更新内容の把握・最新版の共有方法が煩雑になり、工数を要している事例が存在する。
 一方、既存のシステムを導入している場合にも、情報の信頼性、共有・流通の利便性等の観点で課題が顕在化している。加えて、近年、ウェアラブルデバイスやオンラインコミュニケーションツールの普及に伴い、患者を中心としたケアを目指す方向性にシフトしている。
 また、臨床試験業界では分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)の確立、医療業界ではPHR(Personal Health Record)及びEHR(Electronic Health Record)データの利活用が実現すべき大きな方向性として掲げられている。
 これらの実現には、関係者間の信用を確保した上で情報の信頼性を担保する情報流通システムが必要不可欠である。

2、目的
 臨床試験及び医療現場における機密性の高い医療情報を関係者で共有する上で、リーズナブルで且つ情報の信頼性を担保するシステムの設計

3、事業内容
 相互に信用したユーザー/コミュニティ内で電子ファイルやデータをリーズナブル且つシンプルなUI/UXで共有・流通可能なシステムを構築する。大規模で中央集権型のシステムを構築するのではなく、Keychain社の提供するKeychain Core SDKを活用し、自己主権型デジタル・アイデンティティ(SSI)、データの真正性、データセキュリティ、合意形成等、応用可能性の高いコンセプトの企画・開発に重点を置く。

 同事業においては、2023年3月10日の最終成果報告会、同年3月24日の成果物納入に向けて、Keychain社と共にコンセプト設計と開発を進めていく。今後のスケジュールの詳細についてはTrusted Web HP(https://www.nttdata-strategy.com/info/trusted_webR3_koubo.html)で紹介している。
 シミックは、同事業を契機に、臨床試験における正確な情報管理の実現と更なる効率化を目指すと共に、医療・ヘルスケア領域全般に活用していけるよう尽力していく。

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