フォシーガ 臨床試験で心不全患者の心血管死リスクを有意に抑制 アストラゼネカ

 アストラゼネカは5日、フォシーガについて、臨床試験で心不全患者の心血管死リスクを有意に抑制したと発表した。
 P3相DAPA-HF試験およびP3相DELIVER試験の事前に規定された併合解析で得られた新たな結果で、フォシーガがプラセボと比較して死亡率低下に有効であることが明らかになったもの。
 同結果は、スペインのバルセロナで開催された 2022 年欧州心臓病学会年次総会で発表され、Nature Medicine にも掲載された。
 心血管死リスクの抑制は、事前に規定された複数のサブグループで一貫して認められており、全ての範囲の左室駆出率の心不全患者さんにおける心不全治療薬の死亡率低下への効果を示す初の解析結果である。
 同解析では、フォシーガは、心不全患者さんにおいて左室駆出率に関わらず、中央値 22 カ月のフォローアップ期間で心血管死リスクを 14%(p=0.01、絶対リスク減少率[ARR]1.5%)、原因を問わない死亡リスクを 10%(p=0.03、ARR 1.5%)、心不全による(初回および再)入院のリスクを 29%(p<0.001、ARR 6%)、心血管死、心筋梗塞、または脳卒中の複合リスクを10%(p=0.045、ARR 1.3%)低下させることが示された。
 P3相DAPA-HF試験およびP3相DELIVER試験は、フォシーガをプラセボとの比較により評価する無作為化二重盲検試験である。
 各試験では、心不全と診断され、機能制限がある、およびナトリウム利尿ペプチド値上昇を呈する患者を登録した。2 つの試験の主な違いは、DAPA-HF試験では左室駆出率が40%以下の患者、DELIVER試験では左室駆出率が40%を超える患者が無作為化されたことである。
 各試験は、20カ国で実施され、両試験合計で1万1007例の心不全患者を対象とした。

◆John McMurray英国グラスゴー大学医学部循環器学教授、Institute of Cardiovascular and Medical Sciences副所長のコメント
 1万1000 例を超える全ての範囲の左室駆出率の心不全患者さんを対象とした当患者レベルのメタ解析で、フォシーガは心血管死および心不全による入院のリスクを低下させることが明らかになった。
 左室駆出率の測定結果が得られていなくても直ちに治療を開始できることから、この結果はフォシーガが臨床現場で果たす有益な役割を支持するものである。

◆Mene Pangalosアストラゼネカバイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 心不全は現在も世界中で最も多い死因の1つで、約6400万人が罹患しており、アンメット・ニーズの高い疾患である。
 今回の解析は、フォシーガによって全ての範囲の左室駆出率の患者さんを治療し、心血管死のリスクを抑制できることを示している。

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