MSDは18日、ラゲブリオについて、同日付で薬価基準に収載されたと発表した。薬価は、200mg1カプセル2357.80円(1日薬価:1万8862.40円)
ラゲブリオは、新型コロナウイルス感染症に対する国内初の経口抗ウイルス剤として、昨年12月24日に特例承認された。
承認時点では、同剤の供給量は限られていたため一般流通は行わず、日本政府が同剤を所有したうえで、流通および投与対象者に制限をかけて配分が行なわれてきた。
具体的には、ラゲブリオの納入を希望する医療機関や薬局は、「ラゲブリオ登録センター」に登録を行い、規定の数量範囲内で注文するというプロセス。
こうした中、MSDでは、工場の生産能力や稼働率を最大化し、政府と契約した160万人分を予定より前倒しで供給するとともに、日本中の必要な患者に同剤をより早く届けられるように、早期の一般流通を目指して準備を進めてきた。
今回、一般流通の見通しが立ったことから薬価基準収載の申請を行い、18日、収載に至った。なお、薬価基準収載品については、準備ができ次第、一般流通を開始する予定である。
これにより、医療機関や薬局においては、登録作業等の負担が軽減され、必要な数量の同剤確保ができ、通常の処方が可能になると期待される。
ラゲブリオは、昨年12月の特例承認以降、日本の臨床現場で38万人以上の患者に投与され、オミクロン株流行下での使用実績も確立されている。
また、6カ月間の市販直後調査が終了し、現在進行中の特定使用成績調査における安全性、有効性の中間データも近日中に公表予定である。
◆カイル・タトルMSD代表取締役社長のコメント 新型コロナウイルス流行の“第7波”が急速に拡大する中、ラゲブリオが薬価基準に収載され、一般流通を開始できることを大変喜ばしく思う。
一般流通開始後は、医療機関や薬局においては、必要な数量のラゲブリオの確保ができ、医師が適切と判断する患者さんにできるだけ早いタイミングで処方することが可能になる。
現在、既存のオミクロン株と比較してより感染力の強いBA.4系統およびBA.5系統への置き換わりが進み、国内の感染者数は急激に増加している。7月20日にニューイングランド・ジャナ―ル・オブ・メディスンで発表されたように、非臨床薬理試験においてラゲブリオはBA.2、BA.4、BA.5にも有効であることが報告されている。
医療現場が日々対応に追われる中、必要とする患者さんにラゲブリオが適切に使用されることで、患者さんの早期回復と医療現場の負担軽減に貢献できるものと考える。
◆相良博典昭和大学病院病院長のコメント
国内の新規陽性者数が高い水準で推移し、医療提供体制がひっ迫し深刻な状況にある中、医療従事者は力を合わせて一人ひとりの患者さんの対応にあたっている。
そのような中で、本日、ラゲブリオが薬価収載され、まもなく一般流通となることで、本剤をより迅速に患者さんに処方できるようになるのは大変心強く思う。