ファンペップは18日、メディパルが利益分配等の対象開発品として新たに抗 IL-23抗体誘導ペプチド「FPP005」を選定したと発表した。IL-23を標的タンパク質とするFPP005は、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎等)への適応拡大を想定しており、2023年の臨床試験開始に向けて前臨床試験が順調に進んでいる。
メディパルは、これまでに利益分配等の対象開発品として、住友ファーマとオプション契約を締結している抗 IL-17A 抗体誘導ペプチド「FPP003」を選定している。IL-17A を標的タンパク質とする FPP003は、脊椎関節炎(強直性脊椎炎やX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等)への適応拡大が想定される。
今回、2023年の臨床試験開始に向けて開発が順調に進捗しており製薬会社との導出活動が進んでいる抗IL-23抗体誘導ペプチド「FPP005」が、有望な開発品として新たに選定された。
ファンペップとメディパルは、2016年2月に抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援に関する提携契約を締結している。同提携契約にもとづき、ファンペップはメディパルから契約一時金及び3年間にわたって研究開発協力金を受取り、多様な標的タンパク質に対する抗体誘導ペプチドの研究を行って研究開発パイプラインを構築してきた。
一方、メディパルは、同研究から創出された抗体誘導ぺプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、当該対象開発品についてファンペップが導出先の製薬会社から受取る契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を受取る利益分配の権利を保有している。
また、ファンペップは、製薬会社への導出交渉時には、メディパルが日本国内等の卸売販売について優先交渉権を取得できるように努力する。
抗体誘導ペプチドは、患者の体内で抗体産生を誘導することで治療効果を期待するペプチド治療ワクチンである。バイオ製造施設で製造する抗体医薬品とは異なり、抗体誘導ペプチドは化学合成で製造可能なため製造コストを抑制でき、さらに投与後は患者の体内で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬剤投与間隔も長いことが期待される。
こうした特徴により、ファンペップは、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制できる代替医薬品として抗体誘導ペプチドを開発し、先進国で深刻化する医療財政問題の解決や患者の負担軽減に貢献していく意向を示している。
ファンペップは、抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を保有していることを強みとし、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究によって様々な疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの創薬研究を行っている。
FPP005の標的タンパク質IL-23は、様々な炎症性疾患の病態に重要な役割を担っており、先行する抗IL-23抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の幅広い疾患を対象に開発が進んでおり、既に世界市場は数千億円規模まで拡大している。FPP005は、2023年の臨床試験開始に向けて前臨床試験が順調に進んでいる。
世界の抗体医薬品市場は、2020年に前年比12.5%増加の17兆8246億円に達しており、増加傾向が続いている。
ファンペップは、抗体医薬品市場において市場規模が大きい免疫・炎症領域(2020 年6兆7956億円)において、2つの開発化合物「FPP003」「FPP005」の開発を進めている。FPP003 とFPP005は、同じ尋常性乾癬を初期適応症として開発を進めているが、IL-17A を標的タンパク質とする FPP003は、脊椎関節炎(強直性脊椎炎やX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等)、IL-23を標的タンパク質とするFPP005は、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎等)への適応拡大を想定している。
ファンペップでは、2つの化合物の開発を進めることにより市場が大きい免疫・炎症領域をより広くカバーできるものと考えており、FPP003 及び FPP005 の開発を優先的に進めている。
同件は、現時点においては通期業績に対する影響はない。今後、製薬会社との間で新規の導出契約が締結された場合には、ファンペップは、製薬会社から契約一時金及び開発マイルストーン収入を受取る予定であり、そのうちの一定率をメディパルに支払う予定である。