2022年度第1四半期は力強い業績達成 武田薬品

通期マネジメントガイダンスの達成に向け順調に進捗

 武田薬品は28日、2022 年度第1四半期の業績を公表し、同四半期は、力強い業績を達成し、通期マネジメントガイダンスの達成に向けて順調に進捗していると発表した。
 前年度第1四半期の日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの売却は、想定通り、財務ベース業績の対前年同期増減に影響を及ぼした。
 同売却に係る一過性の影響として前年度第1四半期に1330 億円を売上収益に、1314 億円を営業利益に計上したものだが、Coreベースの業績からはこの影響は控除されるため、当期の Core売上収益はCER ベースで対前年同期+8.3%、Core営業利益は+17%の成長となり、Core営業利益率は 32.8%となった。

◆主要な5つのビジネス領域に関する業績アップデートは次の通り。

 2022年度第1四半期の主要なビジネス領域における成長はタケダの成長製品と新製品が牽引し、売上収益は3636億円とCERベースで+26%の成長となった。

  • 消化器系疾患領域の財務ベース売上収益は 2,704 億円となった。腸管選択的に作用する ENTYVIO(国内製品名:「エンタイビオ」)ならびにタケキャブ/VOCINTIが牽引し、CER ベースの成長率は+15%となった。
     中国におけるVOCINTI の上市が成長に大きく貢献した。2022 年度のENTYVIO のグローバル全体での売上収益は、CER ベースで+20%の成長と見込んでいる。
  • 希少疾患領域の財務ベース売上収益は 1,816 億円となりました。タクザイロ®が引き続き力強く成長して売上を牽引し、さらに 2021年12月に米国で上市した LIVTENCITYも貢献し、CER ベースの成長率は+7%となった。
     また、2022年度にはタクザイロが上市され、LIVTENCITYが承認される地域がさらに拡大するものと予想している。
  • 血漿分画製剤(免疫疾患)領域の財務ベース売上収益は1419 億円となった。免疫グロブリン製剤に対する世界的な需要拡大の継続とアルブミン製剤の高い売上が牽引し、CER ベースで+18%と大幅に成長した。
     2022年6月30日時点でグローバルの血漿収集拠点は212センターまで増加した。同年度は、25 センター以上の開設が計画されており、2022年度の血漿収集量を前年度比で10~20%増加させることを目標としている。
  • オンコロジー(がん)領域の財務ベース売上収益は1175億円となった。主にVELCADEの後発品参入の影響により、対前年同期と比べCERベースで10%の減少となった。アルンブリグ は、CER ベースで+34.7%と成長した。EXKIVITYは2021年9月に米国で上市し、市場データは商業的成功の早期指標を示している。英国、スイス、オーストラリアや韓国で承認を受け、引き続き販売地域が拡大した。
     2022 年度中に中国をはじめとする複数の国々でさらなる承認が見込まれている。また、同社は、欧州医薬品庁(EMA)との協議後、EGFRエクソン20挿入変異非小細胞肺がん(NSCLC)の二次治療を対象とした販売許可申請の取り下げを決定した。
  • ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の財務ベース売上収益は1424億円となった。CERベースの成長率は+11%となり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から引き続き回復していることが示された。
     トリンテリックスは、特に日本において伸長し、CERベースの成長率は+5.2%でした。VYVANSE (国内製品名:「ビバンセ」)の米国における成人市場が拡大しつつあり、2022年度の成長が見込まれる。

◆パイプラインに関するアップデートは、次の通り。

 2022年度第1四半期は、パイプラインのさらなる進捗を示すと同時に、患者に新たな治療薬を届けることができた。

  • デング熱ワクチン候補である TAK-003 は、ワクチン接種後 4 年半(54 ヵ月)にわたり、血清反応が陽性および陰性を含む全体の集団において、デングウイルス感染症による入院の 84%およびデング熱の発症の 61%を抑制し、安全性に関連する大きな懸念は認められなかった。
     P3相TIDES 試験によるこれらのデータは、第8回Northern European Conference on Travel Medicine(NECTM8)で発表された。現在、TAK-003は、欧州と特定のデング熱流行国の一部で規制当局の審査中であり、2022年度中に結果が得られるものと見込んでいる。
  • α-1 アンチトリプシン欠乏症(AATD)による肝疾患の治療薬として開発中のfazirsiran(TAK-999/ARO-AAT)のP2相試験の結果が The New England Journal of Medicineに掲載された。
     fazirsiran は Arrowhead社と共同開発中の新薬候補で、FDAによりAATD 治療薬として 2021年7月にブレークスルー・セラピー指定、2018年2月にオーファンドラッグ指定を受けている。  - アドセトリスについて、未治療のステージIII 期またはIV期の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者さんを対象に、統計学的に有意な全生存期間の改善を示したP3相試験データを第59回米国臨床腫瘍学会年次総会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)で発表した。
  • 武田薬品とモデルナ・ジャパン社は日本におけるスパイクバックス筋注(新型コロナワクチン)の製造販売承認を同社からモデルナ・ジャパン社に承継することを発表した。
  • タクザイロは、2歳以上 12歳未満の小児患者において、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作抑制について良好な結果が認められた。成人および12歳以上の小児患者を対象とした各種臨床試験の結果とも一致するこの試験結果は、ハイブリッド形式で開催された2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(EAACI)で発表された。
     現時点では、6 歳未満の HAE 患者に対して承認されている長期予防治療薬はなく、2022 年度より世界各国での規制当局への承認申請を開始する予定である。
  • HYQVIAは、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する維持療法としての有効性および安全性を評価するピボタルP3相試験において、主要評価項目を達成した。現在、米国と欧州での承認申請を準備中である。
  • 武田薬品は、2022年6 月、高シアル化免疫グロブリン(HsIG)候補について、Johnson & Johnson 社が買収したMomenta Pharmaceuticals 社とライセンス契約を締結した。
     HsIG は、力価が高いため、免疫グロブリン製剤と同様の有効性を低用量で得られる可能性がある。安全性と有効性が示された場合、きわめて少量での投与が可能となり、忍容性と簡便性に対する患者のニーズに応えると同時に、現在の供給制約への対応に寄与する可能性がある。

◆コスタ・サルウコス武田薬品チーフ フィナンシャル オフィサーのコメント

 タケダの成長製品と新製品が引き続きCore売上収益の成長を牽引し、2022 年度第1四半期は力強い業績を達成した。この結果は、これまでの成長の勢いと主要なビジネス領域における製品の着実な伸長によるものである。
 また、2022年度第1四半期の業績は、昨年度に実施した非中核の事業等の売却のうち、最後の主要案件の影響を受けた。2021年度の日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの売却が、2022年度第1四半期決算における財務ベースの営業利益が減少した主たる要因であり、財務ベースとCore ベースの売上収益成長の唯一の違いである。
 2022年度第1四半期の業績は、為替が追い風となった。また、インフレの進行やその他のさまざまなマクロ的課題にもかかわらず、製品群の成長と経費管理の徹底により、Core営業利益率の改善を可能とした。
 さらに、当社の固定金利負債の割合は約98%、加重平均金利は約2%となっているため、金利の上昇が予想される中でも安定性を発揮している。

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