アストラゼネカは14日、タグリッソについて、P3相ADAURA試験の最新データにおいても早期 EGFR 変異陽性肺がんの術後補助療法として高い有効性が裏付けられたと発表した。
プラセボとの比較で、腫瘍完全切除後補助化学療法を受けているまたは受けていない早期(IB 期、II 期、IIIA 期)上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術後補助療法において、無病生存期間(DFS)の臨床的に意義のある改善が維持されたもの。
タグリッソの安全性と忍容性は過去の臨床試験と一致しており、新たな安全上の懸念は認められなかった。
NSCLC患者全体の最大30%が、根治が期待される切除可能な早期 NSCLC と診断されるが、早期NSCLC でも依然として再発するケースが課題であり、これまでに、IB 期と診断された患者の半数近く、および IIIA期と診断された患者の4分の3以上が、5 年以内に再発を経験している。
これらの最終的なDFS データは、今後の学会で発表される予定である。なお、本試験は引き続き、副次評価項目である全生存期間(OS)の評価を継続して行う。
タグリッソは早期肺がんの治療薬として、米国、欧州、中国を含む80か国以上で承認され、さらに世界各地で薬事承認審査が進められている。日本においては、2016年3月に「EGFR チロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性の EGFR T790M 変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を適応として承認されている。
さらに2018年8月に、「EGFR 遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」に適応拡大されている。なお、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの術後補助療法に対するタグリッソの適応は、本邦では未承認である。
◆大津智子アストラゼネカ執行役員研究開発本部長のコメント
P3相ADAURA試験の初期結果は、術後の早期 EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんにおいて、タグリッソが再発または死亡リスクを有意に低下させることを示した。
それから2年経過した現在、さらに蓄積されたDFS データは、タグリッソの治療ベネフィットが持続していることを示しており、私たちは、患者さんのがんの再発を抑制し、より長生きする一助となり得るタグリッソの可能性について期待している。
特に、日本においては、欧米の患者さんと比べて EGFR遺伝子変異を有する肺がん患者さんが多いことから、一日も早く、早期肺がんの術後補助療法として、タグリッソの適応拡大が承認されることを期待している。