アストラゼネカは16日、イミフィンジと標準化学療法の併用療法について、局所進行または転移性胆道がん(BTC)を対象にて米国で優先審査指定を取得したと発表した。
優先審査指定は、米国FDAから、安全性・有効性の改善、重篤な症状の予防、患者の服薬遵守向上を通じて、従来の治療選択肢よりも著しい改善が予想される医薬品の承認申請に対し付与されるもの。
処方薬ユーザーフィー法に基づくFDAの審査終了目標は、2022年第3四半期中である。
BTCは、胆管や胆嚢にできる希少で悪性度が高い。米国では毎年約2万3000人が BTCと診断されている。BTC患者の予後は不良で、5年生存率は約5~15%である。
今回の効能追加は、米国臨床腫瘍学会の2022年度消化器がん(ASCO GI)シンポジウムで発表されたP3相TOPAZ-1試験の中間解析結果に基づくもの。データからは、イミフィンジと化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)の併用により、化学療法単独と比べて死亡リスクが20%低下することが示された(ハザード比[HR]0.80、95%信頼区間[CI]0.66-0.97、両側検定による p=0.021)。
治療開始から2年後の時点での患者の生存率は、イミフィンジと化学療法の併用療法で25%(4人に1人)、化学療法単独で10%(10 人に1 人)と推定された。
解析結果からは、イミフィンジと化学療法の併用療法により、病勢進行または死亡のリスクが25%低下し、統計学的に有意であった(HR 0.75、95% CI 0.64-0.89、両側検定による p=0.001)。
イミフィンジ併用療法の忍容性は概ね良好であり、化学療法単独と比較しても有害事象による中止率の上昇は認められなかった。
2020年12月、米国において、イミフィンジはBTC の治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けている。なお、進行胆道がんの一次治療としてのイミフィンジと化学療法の併用療法は、本邦未承認である。
◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
進行胆道がんの患者さんは、予後不良かつ治療選択肢が限られているという問題に長い間直面してきた。
TOPAZ-1試験に関する最新情報は、対象疾患の患者さんに対して新しい効果的な治療法を早急に提供する必要性を明確に示している。当社は、FDAと緊密に連携して、この深刻ながんの患者さんに免疫治療を用いた初の治療選択肢を提供するとともに、イミフィンジと化学療法の併用療法による新たな標準治療を確立できるよう取り組んでいく。