小野薬品は6日、オプジーボについて、欧州委員会(EC)よりPD-L1発現レベルが1%以上の根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法としての承認を取得したと発表した。同社が提携するブリストル マイヤーズ スクイブが5日に公表したもの。
ECの承認により、オプジーボは、欧州連合(EU)で、この設定における患者に対して承認された最初の術後補助免疫療法薬の選択肢になる。
P3相CheckMate-274試験において、オプジーボは、プラセボと比較して、全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者の両方において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無病生存期間(DFS)の改善を示した。
ECの決定は、PD-L1発現レベルが1%以上の患者での結果に基づいている。同結果では、DFSの中央値はオプジーボで未達、プラセボでは8.41カ月で、オプジーボが、プラセボと比較して、再発または死亡のリスクを47%低減した(ハザード比 [HR] 0.53;95% 信頼区間 [CI]:0.38 – 0.75;p=0.0005)。
オプジーボの忍容性は全体的に良好で、安全性プロファイルはこれまでに報告されたオプジーボの固形がん患者における試験のものと一貫していた。
ECの承認により、EUの27加盟国をはじめ、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーにおいて、PD-L1発現レベルが1%以上の根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんの成人患者の術後補助療法としてオプジーボが使用できるようになった。
EUに加えて、オプジーボは、CheckMate-274試験に基づき、PD-L1発現レベルを問わない適応で承認されている米国と日本を含め、7カ国で承認を取得しているほか、世界の保健当局によりさらなる申請に対する審査が進められている。 CheckMate-274試験の結果は、2021年2月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の泌尿器がんシンポジウムで最初に発表され、2021年6月にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された。
今回の承認によりオプジーボは、EUにおいて尿路上皮がん、悪性黒色腫および食道/胃食道接合部がんの3 つの異なるがん腫の術後補助療法として承認された。
加えて、ブリストル マイヤーズ スクイブは、早期ステージのがんにおける広範な開発プログラムを有しており、現在、術前補助、術後補助、周術期の設定にわたる8 つの異なるがん腫で開発を行っている。
◆ラドバウド分子生命科学研究所の泌尿器腫瘍学教授のFred Witjes(M.D.)氏のコメント
何年ものあいだ、筋層浸潤性尿路上皮がんの患者さんは、がんを切除できる早期段階で診断されたにもかかわらず、約半数の方が再発し、それを防ぐための安全で効果的な治療選択肢もほとんどないという痛ましい現実とともにあった。
オプジーボが承認されたことで、臨床医は、CheckMate-274試験で再発または死亡のリスクを有意に低減した術後の一定の患者さんに、免疫療法薬の治療選択肢を提供できるようになった。
本承認により、EUの筋層浸潤性尿路上皮がんの適格な患者さんの治療法が大きく変わる可能性がある。