小型加速器による標的α線治療コア原料の治験薬製造スケールでの製造に世界初の成功 日本メジフィジックス

創薬拠点「CRADLE棟」

 日本メジフィジックスは5日、アクチニウム225の小型加速器による治験薬製造スケールでの製造に成功したと発表した。自社の創薬拠点でTAT(Targeted Alpha Therapy、標的α線治療)のコア原料となるアクチニウム225のGBqスケールでの製造に成功したもの。小型加速器を用いた治験薬原料に利用できる品質でのアクチニウム225のGBqスケールでの製造は、世界で初めて。
 セラノスティクスの1つであるTATは、がん細胞を死滅させるα線を放出する放射性核種を、がん細胞のタンパク質などに選択的に集積する抗体などに結合させた治療薬により、体内からがん細胞を攻撃する新しい治療概念となる。
 特に、α線を放出するアクチニウム225のTAT療法は、がんが全身に転移した前立腺がんの患者に対する高い治療効果が2016年に報告されて以降、世界で急速に臨床研究が進んでいる。

セラノスティクス概念図

 

 そのため、天然には存在しない放射性核種であるアクチニウム225の製造開発も世界で活発に行われている。同社が開発した製造技術は、ラジウム226を原料として商業的に利用されている小型の加速器を用いる(p,2n)法で、同じラジウム226を原料とする他の製造法と比較して、ラジウム226の使用量が少量で済むなど、経済性に優れ、安定製造がしやすい方法となっている。
 日本メジフィジックスは日本医療研究開発機構(AMED)の平成29年度 「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」(第2回)に採択された研究課題の推進により、セラノスティクスの早期実現を目指している。
 今回の製造技術の開発により、今後、自社の創薬拠点にて臨床開発に必要となる量のアクチニウム225を準備できることから、産学官で連携したTATの研究開発をさらに加速させていく。

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