セフィデロコル 日本国内で製造販売承認申請 塩野義製薬

 塩野義製薬は24日、同社創製の新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルについて、同日付で日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表した。
 同剤は、これまでに3つの国際共同試験(複雑性尿路感染症患者を対象としたP2相試験 [APEKS-cUTI]、カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症患者を対象としたP3相試験 [CREDIBLE-CR]、院内肺炎患者を対象としたP3相試験 [APEKS-NP])を完了し、米国FDAおよび欧州委員会(EC)より承認されている。
 今回、これらの臨床試験結果を踏まえ、日本国内で製造販売承認申請を行ったもの。
 カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す腸内細菌目細菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニおよびステノトロホモナス・マルトフィリアを含むグラム陰性菌を起因とする感染症の増加は、医療における重要課題となっている。これらの細菌が引き起こす感染症は、既存薬での治療が困難で致死率も増加している。
 こうした背景から、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示すグラム陰性菌に対する新たな抗菌薬の開発は、世界保健機関(WHO)および米国疾病予防管理センター(CDC)により最優先事項に挙げられている。
 また、日本医療機器総合機構(AMED)感染症創薬産学官連絡会は、創薬標的とする病原菌リストを公表し、研究開発のさらなる推進を呼びかけている。
セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬。
 細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮する。
 鉄と結合する独自の構造を有することで、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれる。
 その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を阻害する。

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