「子どもの未来支援」で横浜市との事業連携協定締結 塩野義製薬

左から澤田氏、山中氏

 塩野義製薬は25日、横浜市と「子どもの未来支援」に関する協定を締結した。同日開催された横浜市長定例記者会見で公表された。
 同協定は、障害児やその保護者・家族に対する支援の充実や障害への理解促進を通じて、次世代を担う子どもの育ちを支え、「子どもの未来支援」に取り組むことを目的としたもの。
 塩野義製薬は、2017年度より「こどもの未来支援室」を設置し、自治体等と連携を図りながら様々な取り組みを行っているが、政令市と取り組みを結ぶのは今回が初めて。
 横浜市では、これまで障害児の支援体制の拡充及びサービスの充実に取り組んできた。中でも、近年は、増加傾向にある発達障害に対する支援に尽力している。
 発達障害独自の障害者手帳が無いため、横浜市全体の発達障害者の人数把握は困難な状況下にあるものの、横浜市の地域療育センターの新規利用時の相談件数の内、発達障害と診断された子供の割合は、平成23年の62%から近年は72%に上昇している。
 さらに、放課後ディサービスなどの業務を行う障害児通所支援サービスの利用者における発達障害の割合は、平成27年の25%が令和2年には45%に増加した。
 近年、ニーズが高まり利用者数が増加している児童福祉法に基づく障害児通所支援事業については、提供されるサービスの質の維持・向上が課題となっている。さらに、障害児本人の支援に加えてその保護者・家族への支援や障害に対する理解促進・啓発など取組の拡充も必要である。
 こうした中、発達障害に関する支援体制の整備や理解促進に取り組み、横浜市とも支援者を対象に研修を共催してきた塩野義製薬から、発達障害のある子どもとその家族へのより良い支援推進を目的に横浜市との連携拡大が提案された。
 横浜市としても、障害児支援のさらなる充実に取り組むため、事業連携協定を締結する運びとなった。
 主な協定内容は、①発達障害児と家族の支援、②発達障害の理解促進、③子どもの健康支援
 ①では、障害児への支援の質の向上として、「事業所に対する研修」、「障害児支援で活用できるツール作成」を行う。
 さらに、保護者・家族支援の技術向上を目的とした事業所に対する研修も実施する。
 ②では、障害に対する理解促進として、当事者の人々と連携した啓発のための広報やイベントを開催する。
 ③の子供の健康支援では、新型コロナの感染拡大が続く中で不可欠な感染症対策の支援として、「事業所に対する感染症予防研修」、「啓発ツールの提供」を実施する。
 市長定例記者会見では、山中竹春横浜市市長が今回の連携効果について、「塩野義製薬のこれまでの実績を活かした企画提案や、豊富な人材ネットワークによる研修講師のコーディネート、感染症に関する豊富な情報・ノウハウの提供により、横浜市の課題解決の取り組みが推進できる」と期待を寄せた。
 一方、澤田拓子塩野義製薬代表取締役副社長は、「これまでもいくつかの自治体と連携してきたが、横浜市とは非常にお話がスムーズに進み今までやれなかったことも色々とできるのではないかと心をわくわくさせている」と明言。
 その上で、「塩野義製薬は、治療だけでなく、診断、予防、患者さんのケアも含めたトータルケアの実現を目指してきたい」とコメントした。

タイトルとURLをコピーしました