7つのブロックバスター候補医薬品を特定した最新レポート公開 クラリベイト

 イノベーションを加速する信頼性の高い知見や分析を提供するクラリベイトは、2022年に市場参入または主要適応症に対して上市し、2026年までにブロックバスター候補になると予測される7つの医薬品を特定した最新の「Drugs to Watch」レポートを公開した。
 アナリストが、クラリベイトのデータとインサイトを活用して、5年以内に10億ドル以上の年間売上高を達成すると予測される開発後期段階の治療薬7つ特定したもの。
 今回特定された7品目は、◆Adagrasib (アダグラシブ、Mirati Therapeutics IncとZai Lab Limitedが共同開発、がん領域がん領域、 KRASG12C陽性のNSCLCおよびCRC)、◆Faricimab (ファリシマブ、ロシュと中外製薬が開発、眼科領域、 糖尿病性黄斑浮腫、ウェット型加齢黄斑変性症)、◆Lecanemab (レカネマブ、エーザイとバイオジェンが開発、神経・精神科領域、アルツハイマー型認知症)、◆Donanemab (ドナネマブ、イーライリリーが開発、神経・精神疾患、アルツハイマー型認知症)、◆Tezepelumab (テゼペルマブ、アムジェンとアストラゼネカが開発、呼吸器、重度の喘息)、◆Tirzepadite (チルゼパチド、イーライリリーが開発、代謝、 2型糖尿病)、◆Vutrisiran (ブトリシラン、アルナイラムが開発、筋骨格、遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシス)。
 これらの治療薬は、アルツハイマー病(AD)、喘息、2型糖尿病(T2DM)など、世界中で数千万人の患者が苦しんでいる疾患から、トランスサイレチン介在性アミロイドーシス(ATTR)などの希少疾病まで、多様な治療領域に及んでいる。
 また、遺伝子細胞治療、CRISPR、人工知能・機械学習による創薬、RNA、がん標的治療など、注目すべき主要な治療開発分野とともに、COVID-19ワクチンと治療法の詳細な分析も行っている。
 さらに、2022年に米国での特許切れによりジェネリック医薬品との競争に直面するブロックバスター医薬品とバイオ医薬品についても検証している。
 世界のヘルスケアの展望はますます複雑化しており、患者の生活を改善する治療法を発見、開発、商品化することは、特に今日のような前例のない時代においては困難なである。
 Drugs to Watchレポートでは、患者の予後改善を実現し、次世代の革新的な医薬品への資金提供が期待される開発中の治療法を取り上げている。これらの有望な治療法を支える企業は、アダプテーションやインプロビゼーション、クラウドソーシングのソリューションを通じて、関連する治療分野における深い専門知識と、これらの症状に対する治療ソリューションを追求するための長期戦略を活用し、幅広い革新的な治療候補を推進している。
 クラリベイトでは、承認を取得した、あるいは承認を取得する準備が整った新薬やバイオ医薬品の中から、今後5年間にブロックバスターの地位を獲得する可能性のある7つの治療法を特定した。
 2022年のDrugs to Watchは次の通り。
◆アダグラシブ(Mirati Therapeutics IncとZai Lab Limitedが共同開発): これまで治療法の選択肢が少なかったKRASG12C変異を有する大腸がん患者にとって、待望の標的治療薬となる可能性がある。
 KRASの変異型は、従来から難治性の創薬ターゲットとされており、変異陽性の固形がん患者に対するKRAS阻害剤の参入が予想されることは、非常に画期的である。

◆ファリシマブ(ロシュと中外製薬が開発): 糖尿病性黄斑浮腫(DME)およびウェット型加齢黄斑変性(AMD)の患者にとって、ファリシマブは標準治療よりも投与回数が平均して少なく、より便利な選択肢となる可能性を持っている。
 また、眼科領域で初めて発売されたバイスペシフィック抗体として、現在の標準治療よりも高い有効性が期待されているが、これまでのデータでは標準治療と比較して非劣性であることが示されている。
 ファリシマブは、DMEおよびwet AMDを治療する最初のVEGF/Ang-2デュアル阻害剤です(眼科治療領域全体では最初の二重特異性モノクローナル抗体)。

◆レカネマブ(エーザイとバイオジェンが開発)とドナネマブ(イーライリリーが開発): この未開拓市場において、抗Aβ抗体レカネマブとドナネマブは、ADUHELMが米国FDAからAD治療薬として迅速承認を受けたことに続いて、その地位を確立しようとしている。レカネマブとドナネマブは、差別化された臨床プロファイルを提供する可能性があり、2022年後半から報告される予定のP3試験の結果によってこれが強化される可能性がある。
 臨床試験のデータから、最適量の抗Aβ 抗体療法を十分に受けることで、早期ADに臨床的な効果が得られる可能性が示唆されている。

◆テゼペルマブ(アムジェンとアストラゼネカが開発):テゼペルマブは、現在の標準治療である吸入コルチコステロイドで十分にコントロールできない非Th2またはTh2-low喘息患者にとって、ゲームチェンジャーとなる可能性を有している。承認されれば、この患者層に対するファーストインクラスのバイオ医薬品となる。テゼペルマブは、重症のTh2-low喘息に対する第一選択薬となり、既存の治療法では効果が不十分なTh2-high喘息の患者の治療オプションとなる可能性がある。

◆チルゼパチド(イーライリリーが開発): チルゼパチドは、増加する患者集団において、適応症のトップレベルの体重減少および血糖コントロールの改善をもたらし、2型糖尿病(T2DM)関連の合併症の発生を抑制する可能性を持っている。
 既存の治療薬よりも効果的に体重減少と血糖コントロールの両方に対処できる新しい治療薬は、患者のアウトカムに大きな利益をもたらす可能性がある。

◆ブトリシラン(アルナイラムが開発): アンメットニーズの多い進行性疾患に対して、本剤は有効性と概ね良好な安全性プロファイルをもたらし、デリバリーの改善により患者のQOLに貢献することが期待される。この患者層は、特に野生型ATTRの患者にとって、治療選択肢がほとんどない。
 同薬は、全体として比較的サービスが行き届いていない市場に参入するだけでなく、市販されている他のATTR特異的薬剤よりも服用方法が簡便であるのが特徴だ。

 COVIDの大流行により、サプライチェーンの崩壊による主要成分の不足から臨床試験の遅れまで、様々な形で医薬品業界に混乱が生じたにもかかわらず、製薬・バイオテクノロジー企業は引き続き医療の大きな進歩を牽引している。
 製薬会社は、個別化医療を促進する技術の開発に向けて大きく前進している。規制当局は、新しい技術や方法論に寛容であり、治療法がほとんどない疾患への取り組みに意欲を示している
 だが、企業が市場承認を獲得し、患者が医薬品にアクセスできるようにするためには、その価値を証明することが依然として重要である。
 クラリベイトは、医薬品、医療機器、医療技術のライフサイクル全体にわたって顧客を包括的にサポートし、人々の健康を増進することに努めている。同社のエンドツーエンドのリサーチインテリジェンスは、ペイシェントジャーニーデータ、治療領域の専門知識、人工知能、分析を組み合わせ、隠れたインサイトを引き出し、データドリブンな意思決定を促進し、イノベーションを加速させる方法で、顧客が情報に基づいたエビデンスに基づく意思決定を行っている。

◆クラリベイトGlobal Head of Life Sciences and Healthcare Thought LeadershipのMike Ward氏のコメント
 製薬会社やバイオテクノロジー企業は過去2年間、COVID-19がもたらした課題に取り組むために多大な知的資本を投入してきました。同時に、依然として大きな医療負担となっている難病や現在治療不可能な病気の患者に選択肢を提供する医薬品を生み出すための新技術の活用も続けている。
 今年の「注目の医薬品」と「注目の技術」は、製薬・バイオテクノロジー部門の中心である強固なイノベーションを浮き彫りにし、将来、患者のためにより良い結果をもたらすだろう。

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