カルバペネム耐性菌感染症治療薬のP 1 試験開始
 北里研究所と大日本住友製薬

 北里研究所と大日本住友製薬は13日、北里研究所との共同研究によりカルバペネム耐性菌感染症治療薬として創製されたKSP-1007について、P1試験を大日本住友製薬が米国で開始したと発表した。
 今後、大日本住友製薬は、複雑性尿路感染症および複雑性腹腔内感染症を予定適応症として同剤の開発を進める。
 KSP-1007は、産学官の連携事業である日本医療研究開発機構(AMED)の「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」に係る研究開発課題において実施している共同研究で見出したもの。
 同剤は、カルバペネム系抗菌薬を分解する細菌由来の酵素であるβ-ラクタマーゼを広域かつ強力に阻害する作用を有している。世界的に汎用されているカルバペネム系抗生物質製剤メロペネム水和物(大日本住友製薬の国内製品名メロペン)との配合剤とすることにより、カルバペネム耐性菌による感染症に対しても有効な治療選択肢となることが期待されている。
 抗菌薬に対して耐性をもつ薬剤耐性(AMR)菌の出現と蔓延は、サイレント・パンデミックとも称される世界的な問題になっている。AMRは、すでに我々の経済と医療制度に重大な影響を及ぼしており、世界におけるAMR菌感染症による死亡者数は年間70万人と推定され、世界保健機構(WHO)を中心とした国家・国際レベルでの対策が必要とされている。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う抗菌薬の使用量増加による薬剤耐性菌のさらなる増加も懸念されており、昨年のG7サミットでは新たな抗菌薬開発が喫緊の国際課題であることがあらためて示された。
 北里研究所の感染症研究の伝統と実績と、大日本住友製薬の感染症領域の研究開発において蓄積された知見との融合による共同研究の成果を通じて、画期的な抗感染症薬を提供することによりグローバルヘルスに貢献することを目指す。
 なお、北里研究所と大日本住友製薬との共同研究は、2017年10月から10年間の予定で実施している。

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