京大湊総長・小野薬品相良社長が会見
湊長博京都大学総長と相良暁小野薬品社長は13日、京都大学構内で、京都大学基金「小野薬品・本庶 記念研究基金」設立に伴う記者会見を開催した。
同基金は、11月12日に本庶佑京大特別教授とのオプジーボの対価をめぐる訴訟について和解成立した小野薬品が、自主的に京都大学への総額230億円の寄附実施を発表し、今般、設立に至ったもの。
生命科学を主とする自然科学分野の研究において強い意志と高い資質を有する若手研究者を対象に雇用・研究資金助成して、優秀な研究者の育成を目指す。同基金の具体的なプロジェクトについては、今後学内の委員会で検討していく。
小野薬品は、50~60年前のプロスタグランディン関連の医薬品から現在のオプジーボに至るまで、アカデミアとのオープンイノベーションによる確信的な医薬品を創出してきた。
相良氏は、「この度のオプジーボの予想を超えた成功により、何らかの方法でアカデミアの方へ貢献あるいは還元できないかと考えていた」と明言。
その上で、「小野薬品・本庶 記念研究基金の設立によってその構想を具現化できた。同基金により、京都大学における教育環境の経済的基盤充実に貢献できることは大変喜ばしい」と強調した。
さらに、「今回のオプジーボのように予想以上の成功を収められた場合は、当初、2006年に交わした契約は契約とする。それにプラスアルファが生じた時は、アカデミアに還元するというわが国の産学連携の新しい形をお示しすることができた」と訴求した。
本庶氏との裁判については、「和解した。その精神には勝ちも負けもない。全てを水に流して、新たな未来志向を目指したい」と笑みを浮かべた。
一方、湊氏は、「世界で信頼される科学技術立国としての原動力は、新しい学術と研究に果敢に挑戦していく意欲的な若い人材であるのは間違いない。18歳人口が減少する中、そうした人材育成は、本学においても極めて重要な課題である」と指摘。
今回の基金については、「わが国の将来の学術研究の推進を担う優秀な若手研究者育成とその研究環境実現のために、長期的な視点から最大限有効活用させていただく」との考えを示した。