オミクロン株にも対応
塩野義製薬は7日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の下水疫学調査における変異解析サービスを同日より開始したと発表した。
同社は、自治体の下水処理場への流入下水を対象としたSARS-CoV-2の定量的測定サービスを本年6月から開始している。
新たに開始する変異解析サービスでは、定量的測定に加えて、下水中にどういった変異株が含まれているのかを検出することで、対象地域における変異株の発生および蔓延状況の把握に貢献できるものと期待される。
アルファ株、デルタ株など、既存の変異株に加え、WHO(World Health Organization:世界保険機関)が11月26日に警戒度が最も高い「懸念される変異株」に指定したオミクロン株についても、検出可能な技術として開発している。
SARS-CoV-2によるパンデミック発生以降、新たな変異株の発生が感染拡大の一因となったことから、変異株の早期検知、感染状況のモニタリングを適切におこなうことは、次の感染拡大を防ぐための備えとなる。
これまでに同社は、北海道大学(北海道札幌市,総長:寳金 清博)とともに、国内で下水中のSARS-CoV-2の変異解析に取り組み、自治体が変異株の国内流入を確認する前に、変異株の推定に成功している。
下水疫学調査の社会実装が進む欧米を中心に同様の報告が複数あることから、下水疫学調査を用いた変異解析は、変異株の早期検知に有効な手段であると期待されている。
また、同社は、島津製作所とともに、下水疫学調査の早期社会実装を目指して、業務提携に向けた協議を進めている。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、未病・啓発・予防・診断並びに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めている。
外部パートナーとの連携を強化し、強みを融合することで、下水中に含まれるウイルスのモニタリングデータをもとにした感染状況や変異株の発生動向などを早期に検知可能とする社会システムを構築。地域・社会における感染症対策に貢献していく。
なお、同件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。