モルヌピラビル 経口投与の新型コロナ感染症治療薬として特例承認希望で国内承認申請  MSD

 MSDは3日、モルヌピラビルについて、経口投与の新型コロナ感染症治療薬として日本国内の製造販売承認申請を行ったと発表した。申請に先立ってPMDAから事前評価を受けるために有効性や安全性に関するデータを共有しており、今回の承認申請では特例承認の適用を希望している。日本政府は、経口薬の年内実用化を目指しており、MSDと160万人分供給することで合意している。
 今回の承認申請は、重症化リスク因子を1つ以上有し、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象としてモルヌピラビルを評価するP3相MOVe-OUT試験の中間解析の結果に基づくもの。
 中間解析の時点で、無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者は、モルヌピラビル群では7.3%(385例中28例)、プラセボ群では14.1%(377例中53例)であった(p=0.0012)。29日目までにモルヌピラビル群では死亡例はなく、プラセボ群では8名の患者が死亡した。
 有害事象の発現率は、モルヌピラビル群とプラセボ群で類似していた(それぞれ35%、40%)。治験薬との因果関係があると判断された有害事象(副作用)の発生率も同様に類似していた(それぞれ12%、11%)。
 有害事象により治療を中止した患者は、モルヌピラビル群ではプラセボ群より少なくなった(それぞれ1.3%、3.4%)。

 モルヌピラビル(MK-4482/EIDD-2801)は、エモリー大学が100%出資する非営利バイオテクノロジー企業のDrug Innovations at Emory (DRIVE), LLCで発明された。経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログの治験薬で、新型コロナ感染症を引き起こすSARS-CoV-2の増殖を阻害する。
 同剤は、SARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデルにおいて活性が認められている。また、前臨床および臨床データで、主流のSARS-CoV-2変異株に対する活性が認められている。
 また、モルヌピラビルは、曝露後の発症予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同P3試験のMOVe-AHEADも実施されている。

◆カイル・タトルMSD代表取締役社長のコメント  世界初の経口投与による新型コロナウイルス感染症治療薬モルヌピラビルを日本においても早期に申請できたことにたいへんうれしく思う。また、自宅での服用が可能のため、医療機関の負担を大幅に軽減できると期待している。
 MSDは、引き続き規制当局とも緊密に連携し、モルヌピラビルを一日も早く患者さんへお届けできるよう全力で取り組んでいく。

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