AIホスピタル構想における高度診断・治療システムの社会実装を推進
日本ユニシスとALBERTは11日、Dr.アバター(医師の仮想分身)によるインフォームドコンセント支援システムの活用を目的に、Dr.アバター利用患者の理解度を推定するAIの開発を開始したと発表した。
同事業は、「内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の一環として実施されるもの。
説明コンテンツ視聴中の患者の様子を映した映像やシステムの操作情報などから、Dr.アバター利用患者の理解度をAIが推定し、より適切な治療情報の提供をサポートし、医療従事者の負担軽減を目指す。
医療分野では、データ解析とAIの活用が期待される一方、社会実装に向けては倫理的・法的・社会的課題(ELSI)が重要となる。開発にあたっては、日本ユニシスグループのAI倫理指針に則り、高度な解析や統計専門スキルの提供に関するELSIについて、ステークホルダーとの継続的な検討を行う。
「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」は、超高齢化社会における医療の質の確保・医療費の抑制・医療従事者の負担軽減につながるシステムの社会実装を目指し、AI活用した診断補助やコミュニケーション支援等の研究開発を実施していく。
Dr.アバターによるインフォームドコンセント支援システムでは、インフォームドコンセントにおける医師の説明の一部をDrアバターが代替することにより、患者の理解度・満足度の向上とともに、医療従事者の負荷を削減する。
同システムでは、患者向け説明コンテンツを容易に作成でき、その説明コンテンツに対する患者の反応を医師にフィードバックする仕組みを予定している。今回の協業により研究開発を進める患者の理解度を推定するAIは、医師へのフィードバックの充実化を目的とした活用を実現する
説明コンテンツに対する最終的な理解度のみを推定するのではなく、説明のどこで理解度が上がったかまたは下がったかを機械学習モデルを用いてシーンごとに分析・推定するのが特徴だ。
利用患者のコンテンツ視聴中の映像等から、表情や心拍などのマルチモーダルなデータを用いて特徴量を自動生成し、重要度の高いパラメーターの把握や推定精度向上、最終的な理解度に対する評価の推定を行う。
具体的にどのポイントで理解度が変化するか、理解度に影響度が高い要素などの把握によって、より品質の高い医療サービスの提供だけでなく、これまで医師が対応していた業務の一部をAIが対応できるようになり、医療業務の軽減につながる。
今後は、シーンごとの患者の理解度推定について精度向上を通じて現場で広く活用できるように日本ユニシス・ALBERTの両者で理解度類推AIの研究開発を推進。加えて、理解度に応じたコンテンツの選択機能の追加など、さらなるデータ・AI活用も視野に入れた医療のデジタル化を促進し、提供サービスの価値向上を目指す。