大日本住友製薬は30日、大塚製薬と米国子会社サノビオン社が精神神経領域(CNS)で開発中の4つの新薬候補化合物について、全世界を対象とした共同開発および販売に関するライセンス契約を締結したと発表した。
4つの新薬候補化合物の開発コードおよび予定適応症、開発段階は、次の通り。◆SEP-363856(ulotaront)=統合失調症(P3米国、P 2/3 日本・中国)
◆SEP-4199=双極Ⅰ型障害うつ(P3米国、P3準備中 日本)
◆SEP-378614 未定(P1 米国)
◆SEP-380135 未定(P1 米国)
同契約に基づき、サノビオン社は大塚製薬に対し、4化合物の全世界における開発および販売を共同で行う権利を許諾し、大日本住友製薬グループの大日本住友製薬、サノビオン社、住友制葯(蘇州)有限公司およびスミトモ・ファーマシューティカルズ・アジア・パシフィック・プライベート・リミテッドは、大塚製薬と共同で4化合物の開発を行う。
販売については、米国、カナダ、日本、アジア(中国、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア)は大日本住友製薬グループが売上を計上し、国・地域ごとに大日本住友製薬グループと大塚製薬が原則共同プロモーションを行う予定。
欧州を含む 41 の国・地域では大塚製薬が売上を計上する。その他の地域については今後検討する予定。
同契約下で実施されるすべての臨床試験、各国・地域における承認申請や販売に関する費用および利益については、サノビオン社と大塚製薬で折半する。
なお、ulotarontの追加適応症、SEP-378614および SEP-380135の適応症については、今後大日本住友製薬グループと大塚製薬で協議の上決定する。
同契約の締結により、大塚製薬はサノビオン社に対し契約一時金として 2億7000万米ドル(約 300 億円)を支払うほか、4化合物の開発マイルストンとして 6億2000万米ドル(約 690 億円、追加適応症の数によっては上回る可能性あり)および販売マイルストンを支払う可能性がある。 同件の2022年3月期業績への影響については、大日本住友製薬は、2022 年3月期第2四半期連結業績で契約一時金を売上収益として計上を予定しており、同期業績予想に織り込み済みである。
◆野村博大日本住友製薬代表取締役社長のコメント
このたび、グローバルに精神神経領域において事業展開する大塚製薬と契約を締結できたことをうれしく思う。
4 つの化合物は、大日本住友製薬が成長を期待する品目であり、両者で協力して価値のある薬剤をより早く確実に開発・提供し、世界のより多くの患者さんの治療に貢献できるように取り組む。
当社は、非定型抗精神病薬『ラツーダ』の米国での独占販売期間終了や将来の環境変化を見据えた取り組みとして、グローバル規模でのパートナリングによる持続的な成長を目指しており、今回の提携はその大きな一歩である。
◆井上眞大塚製薬代表取締役社長のコメント
大塚製薬は、2002 年の米国での抗精神病薬の発売からはじまり、現在に至るまで長期にわたり、自社の強みとパートナーシップの機会を活かしながら精神神経領域で世界の患者さんに貢献できる新しい治療を提供してきた。
現在は、アルツハイマー型認知症による行動障害の治療薬の開発や世界初のデジタルメディスンの展開など新たな分野での取り組みも進めている。本契約により、長年にわたり培ってきた経験やネットワークを活かし、両者で患者さんにとってのさらなる価値を届けられると期待している。