アッヴィ合同会社は26日、自己免疫疾患を持つ患者を対象としたアッヴィ自己免疫疾患アートプロジェクト「第3回パースペクティブズ」の受賞作品9点を発表した。
受賞作品は、バーチャル空間上に構築した「オンライン美術館」(https://a-connect.abbvie.co.jp/artproject2021/index.html)に展示され、パソコンやスマートフォンで鑑賞できる。
自己免疫疾患アートプロジェクトは、患者が自己免疫疾患と向き合いながらも、自身のパースペクティブズ(視点、考え方、物の捉え方)を通じて、心とカラダ、症状の改善などから見出した日々の喜び、希望や目標などを、絵画、彫刻、立体造形、陶芸、写真、書道、手芸などのアート作品に自由に表現してもらうというもの。
患者の創作活動から生まれた作品を通して、より多くの人に疾患について知って貰う切っ掛けを作り、患者への理解につなげることを目的としている。
第3回を迎えた今回は、昨年6月1日から本年1月15日にかけて「作品」と「作品に関わるエピソード」を募集し、8歳の若年性特発性関節炎の女児から最高齢90歳の関節リウマチ患者まで、計31点の応募があった。
美術家の佐久間あすか氏をはじめとした11名の審査委員による厳選なる審査により、最優秀賞1点、優秀賞2点、審査員賞2点、佳作4点の計9点の受賞作品が決定した。
◆審査委員を代表しての佐久間あすか氏のコメント
前回に引き続き本プロジェクトの審査を担当させていただいたが、今回の作品も逸品揃いの素晴らしいアートばかりであった。
特に、今回は、絵画、木彫画、陶芸、立体作品等の多分野にわたる個性あふれる作風が多かったことが印象的である。惜しくも受賞を逃した作品もとても素晴らしいものが多く、選考の難しさを感じながら、厳正な審査の下、受賞作品を選出した。
選考に関しては、技術力で評価するのではなく、難病と闘いながらも、魅力や表現力あふれる作品であるかを評価の基準とした。
特に、受賞作品は表現方法は違えども、どの作品にも力強いメッセージが込められていて、同じ病と闘う方々に希望と勇気を与えるだろう。
審査を通して、素晴らしい作品に出会えたことをうれしく思い、これからもアートを通して、たくさんの人々を感動させて欲しいと願う。
アッヴィは、同プロジェクトを通じて、ひとりでも多くの方が患者さんの想いを理解し、支援することができるよう、今後も継続的なサポートを行っていく。
なお、「アッヴィ 自己免疫疾患 アートプロジェクト」の受賞作品を含む全応募作品は、アッヴィ合同会社のホームページ(https://www.abbvie.co.jp/) に公開されている。受賞作品の一つである 最優秀賞受賞作品(1名)の受賞者と作品、受賞コメント、講評は次の通り。
北条 かず子 さん (仮名)90歳)埼玉県在住 関節リウマチ
作品タイトル 「浮かれ地蔵」 (絵画)
◆北条さんの受賞コメント
応募させていただいた作品は、陶器好きの次女の家の床の間に飾られていたお地蔵さんの置物で、目が留まり軽くスケッチして持ち帰り、そのまま引き出しに。
数か月経ったある日の夜、仕事から帰ってきたお婿さんが言った「お母さん、お月さんがきれいだよ」の言葉に促され外に。生まれて初めて見る「スーパームーン」は、住宅と住宅の屋根の間に挟まれたような形で、明るすぎるけれど穏やかで神秘的な光であった。そこで思いついたのが、スケッチしてきたお地蔵さん。合体させてみたくなったのが、今回提出させていただいた「浮かれ地蔵」、ちょっとふざけた作品である。何事も弱気になりかけていた折も折、大きな「喝」を受けたと思い、残された時を大切に生きていきたいと思う。
◆講評 サルコイドーシス友の会 会長 佐藤 公昭氏
関節リウマチに罹患され、指先に力が入らず、思うように動かすことが難しいはずの手で、とても細やかな作品を制作されている。リハビリのためにと描かれたお地蔵さんは、笑顔で穏やかな表情です。病に負けず、心穏やかに過ごしておられるのだと思う。
6体のお地蔵さんには、欲や迷いを断ち切って、心身が清らかになること = 六根清浄の意味が込められているように感じた。満月に照らされた夜の明るさからは、難病 (= 夜)であっても、前向きに生きる (= 明るさ)という気持ちが伝わってくる。病気と向き合いながらも、心や身体、症状の改善を目指して作られた本作品は、希望や目標などを表現するPERSPECTIVESの理念にまさに相応しいと思う。