第5波のピークが見えない東京都では、医療機関や保健所で行うコロナ検査での陽性率が20%以上と発表されている。医療機関でPCR検査や抗原検査を受ける人は、発熱や咽頭通、咳など何らかの風邪症状がある場合が多い(もちろん無症状の濃厚接触者が検査を受ける場合もあるが)。現在の都下では、実に有症状者の5人に1人がコロナ感染者であると考えられる。 さらに、これは氷山の一角で、実際は検査まで至らない感染者(無症状であったり軽症で医療機関にかからない人)が水面下に多数存在する。
デルタ株の特徴として、小児への感染増加が取り上げられている。幸い、成人と比較して重症化しにくいというデータがある。だが、新学期を前に、例年のインフルエンザ流行のように、学校での集団生活を通じて家族へ、さらに職場へと感染が拡大する可能性は否定できない。感染拡大を防ぐために、学級閉鎖、休校という議論が巻き起こっている。一方で、学校生活が長期間停止されることで児童に与える影響も懸念されている。
無症状者による感染拡大を防ぐことは、周囲も本人も感染に気づかないため現実的になかなか困難であるが、少なくとも風邪症状のある人は早めに休むことで、周囲への感染拡大防止に貢献できる。休校という学校現場におけるロックダウンの手前の段階で「風邪症状が現れたら軽くても10日間休もう、自分のために、お友達のために」という考え方が大切ではないだろうか。
さらに言えば、職場など大人の社会でも、「風邪症状あれば10日間出勤しないことが当たり前」の世の中にする。もちろんリモートワークであれば問題なく仕事をしてよい。
学生など若年者は「風邪症状あれば10日間自宅にいることが当たり前(出歩かない)」とする。医療職や介護職のようなエッセンシャルワーカーのように、対面で仕事せざるを得ない職種もあるが、その場合はワクチン接種2回を終えていれば、7日間で仕事復帰とするなどの条件緩和は必要かもしれない。こうした方法は、ロックダウンするよりはるかに社会生活への影響が少ないのではないか。
”今月の目標”的なこうした呼びかけに対して、自粛に疲れた人々がどれだけ反応し守れるかどうかという問題はあるが、ピークの見えない首都圏ではロックダウンの一歩手前の段階として、「病気のときは休むのが当たり前」という考え方を国として本気で発信すれば、それなりの効果が期待できると思われる。