自宅への緊急往診だけでは、第5波は持たない状況になりつつある 新宿区 さこむら内科院長 迫村泰成

 日本で一番感染者密度の高い新宿区で診療を行う医療機関には、覚悟と対応が必要な状況になっています。保健所には、毎日500件以上の発生届が出され、数件の中等症以上の患者が生まれていますが、本来入院治療を受けるべき方が自宅待機となっています。
 新宿区医師会では、自宅待機者への在宅療養の体制を構築してきました。夜間など時間外に体調不良が生じたコロナ陽性患者に対し、電話対応をしたり必要に応じて往診するというものです。新宿ヒロクリニックをはじめとする在宅専門クリニックがその任に当たって下さっています。これまでは体調不良といっても軽症者への対応で完結し、中等症以上はもちろん入院が可能でした。
 ところが、7月後半から始まった新型コロナウィルス感染症の第5波は、とてつもないスピードと規模の津波となり襲ってきています。
 新宿ヒロクリニックの英先生が8月14日フェイスブックに投稿した記事です

”最悪の事態になろうとしています。今や重症者でさえ入院できていません。現場は一人でも救おうと必死に居宅で戦っています。でもこのような戦い方では、むしろ戦線は分断化されていると思っています。もはや根本的な解決をしないと大量の死者を出す状況と考えます。しかも酸素も与えられずに・・・・居宅や医療機関に限られていた医療提供の場を今すぐ撤廃して、体育館に収容してあげてください。”

 8月15日朝には、東京都医師会の委託を受け東京都全域で自宅療養者への医療支援を行っている、ファストドクター菊地先生からも、以下の発信がありました。

”これまで不安を煽るような発信はできる限り避けていたのですが、皆様に向けた注意喚起です。
 東京都や業者からの酸素濃縮機の供給が一時中断となりました。想定をはるかに上回る需要とのことです。入院調整も極めて難しい状況が続いており、打つ手がありません。今や20代・30代の肺炎患者も珍しくありません。今、感染をすると助かりません。十分に注意してください。”

 自宅待機者に対する医療のフロントにいる先生方から悲痛な叫びが聞こえます。
 先日、新宿区医師会 在宅ケア介護保険委員会から、会員に協力いただき行った「コロナ感染在宅療養者に対する医療支援に関する緊急アンケート調査」の中間結果をお伝えします。8/10~12の3日間という短期間に100という多くのクリニックからのお返事を頂いたことに感謝します。

アンケート結果:
・コロナ対応施設の多くは、検査後の電話対応・処方箋発行を行っている(ただし夜間まで対応する施設は約1/4と少なくなる)
・医師会での往診支援体制があれば利用したい医療機関 6割
・訪問診療を行う医療機関41 うち11施設が、医師会での当番制の往診に対応可能

 また、書ききれないほど多くのご意見も届いております。ひとつだけ挙げれば、「中等症以上の患者をどう入院につなげたら良いのか(病院ホットラインの設置など)」という不安の声が多く聞かれました。
 TVや新聞報道で急性期病院のコロナ病床がひっ迫していることは容易に想像でき、東京都に設置されている入院調整窓口では対応しきれていないことが現在の状況を招いています。
 新宿区では、病院の救急外来が中等症以上の症例が来院したときに、重症度に合わせた他院入院などの振り分けを行ってくれているという状況があります。これも今後の感染増加により困難になる可能性はあると思います。
 今、かかりつけ医ができることとしては、
・軽症者への電話対応などをきめこまかに行うこと。自宅待機者が放置されず、常に医療・保健所と連絡がとれるという安心感が大切。
・自宅待機者が処方が切れそうなときに、処方箋を発行し届けること。(医師会から、コロナ対応の薬局リストを再度配布していただけるとありがたいです)
・すべての世代へのコロナワクチン接種を急ぐこと

 入院が必要な自宅待機者への医療支援が必要な状況がいつまで続くのか、その間に医療現場が疲弊してしまわないか。自分が何ができるか、問われています。

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