塩野義製薬は11日、北海道大学と両者の共同研究で見出した「下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含むすべてのウイルスおよび細菌の高感度検出技術」に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。
今回のライセンス契約により、塩野義製薬は、同技術の独占的実施権を取得し、北海道大学に対して、契約一時金、およびサービス開始後の販売額に応じたロイヤリティーを支払う。
SARS-CoV-2感染者の糞便中には、発症の前段階からウイルスが存在する可能性が指摘されており、米国やオランダでは、施設や都市の下水に含まれるSARS-CoV-2の定期的なモニタリングにより、流行状況の早期検知や収束判断などを行っている。
日本においては、米国や欧州の一部の国・地域と比較して、人口当たりのSARS-CoV-2感染者数が少なく、下水中のSARS-CoV-2濃度が低いため、都市の下水からウイルスを検出するためには、感度の高い検出法が必要とされていた。
北海道大学と塩野義製薬は、2020年10月に共同研究契約を締結し、下水中のSARS-CoV-2の高感度検出技術開発の共同研究を推進してきた。本年4月からは、同技術を活用し、大阪府の協力のもと、下水処理場の流入下水を使用した、流行状況のモニタリングに取り組んでいる。
また、塩野義製薬では、下水疫学調査の社会システム構築を目指し、島津製作所との業務提携に向けた協議も進めている。
引き続き、北海道大学と塩野義製薬は、両者の持つ下水疫学や感染症に関するノウハウ、技術を持ち寄り、同技術の早期社会実装を実現し、地域や施設などの感染状況の把握に貢献していく。