新型コロナ感染拡大早期検知で下水中ウイルス流行把握サービス開始 建設技術研究所

 建設技術研究所およびグループ会社の環境総合リサーチは14日、新型コロナウイルスの感染症拡大を早期に検知するための流行把握サービス提供を開始したと発表した。
 同サービスは、日本水環境学会COVID-19タスクフォースメンバーである金沢大学との共同研究契約に基づき、船橋市から下水試料の提供を受け下水中の新型コロナウイルス遺伝子分析技術の実用化に成功したことを受けてのもの。
 現在、世界的流行が起こっている新型コロナ感染症は、無症状感染者が一定の割合で存在するため、発症者を対象とした臨床検査のみでは真の流行状況を把握することが困難である。
 一方、新型コロナ感染症流行期には、下水中から新型コロナウイルス遺伝子が検出されることが知られており、一部の諸外国では感染実態を早期に把握するため、下水中のウイルス遺伝子濃度のモニタリングを実施している。
 下水中の新型コロナウイルス遺伝子のモニタリングは、無症状感染者を含めた感染流行を早期・事前に検知し初動対応に結び付けることに有益である。同社グループでは、そのための新型コロナウイルス遺伝子分析技術の習得し、流行把握サービスを提供する。
 新型コロナウイルス遺伝子分析技術は、日本水環境学会COVID-19タスクフォースメンバーである金沢大学と富山県立大学の指導のもと、「濃縮:ポリエチレングリコールを添加して高速遠心することによりウイルス粒子を沈殿(PEG沈殿法)」、「RNA抽出:RNAが結合するカラムを用いて濃縮物からRNAを抽出」、「分析:リアルタイム-PCR機器を使用」分析技術を習得し、下水中の新型コロナウイルス遺伝子を検出することに成功した。
 新型コロナウイルス流行把握サービスの内容は、①コロナウイルス流行状況を確認するためのモニタリング計画策定、②下水採水作業と分析、③分析結果からの流行把握。
 なお、同サービスは変異型コロナウイルスにも対応できる。
 今後は、流域内感染者を予測するモデルの構築に向けて大学と共同研究を推進する。また、新型コロナウイルスだけでなく、様々なウイルスや細菌を対象とした下水疫学調査を国民の日常生活を守る基礎インフラの一つとして位置づけ、取り組んでいく。

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