フォシーガ 慢性腎臓病治療薬として米国で承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは13日、 SGLT2 阻害剤フォシーガについて、米国で慢性腎臓病(CKD)治療薬として承認を取得したと発表した。適応症は、進行リスクのある成人のCKDにおけるeGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減。
 FDA による今回の承認は、P3相 DAPA-CKD 試験の良好な結果に基づくもの。また、今年の初めに FDAより付与された優先審査指定に続くものだ。
 CKDは、腎機能が低下する病態で、しばしば心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連している。また、血液透析や腎移植が必要となることもあち、2040年までに世界第5位の死因になると予想されている。
 現在、米国では、3700 万人がCKDに罹患していると推定されている。
 P3相DAPA-CKD試験にでフォシーガは、CKDステージ2~4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、ACEi もしくは ARBによる標準治療への併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目を、プラセボと比較して39%低下させた(p<0.0001)。
 絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験において5.3%であった。フォシーガは、全死亡のリスクをプラセボと比較して有意に31%低下させた(ARR = 2.1%、p=0.0035)。
 また、フォシーガの心血管アウトカムを評価した無作為化二重盲検プラセボ対照P3相DECLARE-TIMI58試験において、フォシーガは進行していないCKDにおいても有効であることを示唆する結果が得られている。
 フォシーガは、多発性嚢胞腎を併発する、もしくは、免疫抑制剤による腎疾患の治療歴がある/治療を必要とする CKD 患者の治療への使用は、有効性が確認されていないため、推奨されていない。
 両方の試験において、フォシーガの安全性と忍容性はこれまで確認された安全性プロファイルと一致していた。
 米国においてフォシーガは、成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を持つ成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクの低減、さらに、2 型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の心不全(NYHA 心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全入院のリスクの低下に対する承認を取得している。

 ◆DAPA-CKD試験治験運営委員会共同代表者のHiddo L. Heerspink 氏(オランダのグロニンゲン大学医療センター教授)のコメント
 DAPA-CKD 試験の前例のない結果に基づき、ダパグリフロジンはSGLT2阻害剤で初めて、糖尿病の有無に関わらないCKD治療薬として承認された。今回の承認により、患者さんと医師は、患者さんを衰弱させ、生命を脅かすこの疾患に対する新しい効果的な治療選択肢を手に入れることになる。
 ◆Mene Pangalos氏(バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデント)のコメント
 今回の承認は過去20年以上のCKD治療において最も重要な進歩となる。我々は、フォシーガの優れた有効性を、2型糖尿病、左室駆出率が低下した心不全、そして直近では、CKD において示してきた。この薬を米国の多くの患者さんに届けることができとても嬉しく思う。
 なお、現在、日本で承認されたフォシーガの効能・効果は、「2型糖尿病」、「1型糖尿病」、「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」で、慢性腎臓病に対する適応はない。

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