塩野義製薬は26日、前回発表(2020年5月11日)の2021年3月期期末配当予想を1株当たり2円増配の55円に修正したと発表した。これにより、中間配当と合わせた年間の配当金は、1株当たり108円となり、前期と比べて5円増配となる。
塩野義グループは、成長投資と株主還元のバランスを取りながら企業価値の最大化を図り、中長期的な利益成長を株主にも実感してもらえる施策を推進。配当についても、DOE 4%以上を指標に、企業価値の成長に応じた安定的な向上をを目指している。
2020年度は、中期経営計画STS2030を発出し、従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS企業」へと変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことをビジネスの方向性に掲げ取り組んできた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による影響等から、事業としては減収減益となる一方で、HaaS企業として患者や社会の抱える困り事をより包括的に解決するための様々な取り組みが進行した。
新規事業であるワクチンは、COVID-19ワクチンの臨床試験開始や生産設備の構築等、単年で達成し、中長期的な事業基盤の礎を築いた。
また、中国平安保険(集団)股份有限公司との合弁会社「平安塩野義有限公司」の設立完了と営業開始、ナガセ医薬品の株式取得(子会社化)による生産子会社シオノギファーマのCDMOとしての成長基盤確立など、ビジネス拡大への布石を着実に進展させた。
海外事業では、多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬cefiderocolの売上収益が拡大するとともに、サブスクリプション型償還モデルとして同薬が2か国で採択され、新たな成長ドライバーとして順調な立ち上がりを示した。
研究開発においても、注力8プロジェクト、ワクチン、治療薬等のコロナ関連プロジェクトを中心に積極的な投資を行い、順調に進展させた。
これら取り組みの進展に加えて、2020年度も同社グループが株式を保有する英国ヴィーブ社による抗HIV薬の販売が順調に拡大し、ヴィーブ社からの堅調なロイヤリティー収入を受領するとともに、安定した受取配当金を受領した。
ヴィーブ社については、長期作用型の抗HIV薬cabotegravirが欧米で発売され、今後さらなる成長が期待される。
さらに、当期も前期に引き続き、株主還元の強化、資本効率の向上ならびに機動的な資本政策の遂行を図るため、自己株式の取得(877万7500株、取得総額 約500億円)を実施した。
今回、これらの背景ならびに財務状況、STS2030の株主還元指標であるEPS、DOE、ROE等を総合的に勘案した結果、前回発表(2020年5月11日)の期末配当予想を1株当たり2円増配の55円に修正した。