塩野義製薬は26日、体外診断用医薬品として販売中のTh2ケモカイン・TARCキット「HISCL TARC 試薬」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化予測の補助を使用目的とする適応追加承認申請を16日付で実施したと発表した。
同検査キットは、COVID-19発症早期から重症化リスクの高い患者の判別が可能なため、入院や宿泊療養、自宅療養など個別に最適な措置につなげることが期待される。
また、既にアトピー性皮膚炎の重症度評価の補助として使用されており、アトピー性皮膚炎の症状増悪に伴い上昇するケモカインの一種(系統名:CCL17)であるTARCの簡便な測定が可能だ。
国立国際医療研究センターが実施した臨床研究によると、重症化するCOVID-19患者は、発症早期から重症化するまでの間は血清中のTARC値が低値を示すことが確認されており、1回の測定で患者の重症化を早期より予測可能な分子マーカーとしてTARCの有用性が示されている。
また、種々の慢性疾患でTARC値を検討したところ、TARC値が低値を示す疾患は認められなかったことから、基礎疾患を有する患者でもCOVID-19の病勢予測が可能なことが示唆されている。
COVID-19は、初期症状が軽症であっても後に急速に症状が進行するリスクのある疾患であり、その見極めが難しいため、医療機関や宿泊施設での継続的な観察が必要となっている。そのため、これら施設での療養対象者の増加による医療体制の逼迫、ひいては医療崩壊のリスクをいかに低減させるかが、社会における喫緊の課題とされている。 同検査キットは、COVID-19発症早期から重症化リスクの高い患者を判別し、入院や宿泊療養、自宅療養など個別に最適な措置につなげることで、医療課題の解決を促すことが期待される。