フチバチニブ 進行胆管がん治療薬でFDAのブレークスルーセラピー指定取得 大鵬薬品

 大鵬薬品と米国子会社大鵬オンコロジーは2日、共有結合型FGFR阻害剤フチバチニブについて、進行胆管がん治療薬としてFDAのブレークスルーセラピー指定を取得したと発表した。対象は、前治療歴を有するFGFR2遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)を伴う進行胆管がん。
 フチバチニブは、まだ世界で承認されていない薬剤で、FDAによる同指定の判断は、4月9~14日に開催される米国癌学会(AACR)2021で発表されるP2相FOENIX-CCA2試験の有効性および安全性結果に基づくもの。

 フチバチニブは、経口のFGFR1、2、3、4の不可逆的かつ選択的低分子阻害剤。化学療法などの前治療歴がある胆管がん患者を含むFGFR1-4遺伝子異常進行固形がんへの治療薬として開発している。
 フチバチニブは選択的かつ不可逆的にFGFR1-4のATP結合ポケットに結合することで、FGFR媒介シグナル伝達経路を阻害し、腫瘍細胞の増殖抑制、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍の細胞死を増加する。
 なお、フチバチニブは胆管がんの治療薬として、FDAの希少製品開発室よりオーファンドラッグ指定を2018年5月に受けている。
 一方、胆管がんの発症頻度は高くなく、米国では毎年約8000人が胆管がん(肝内、肝外含む)に罹患している。若年層でも発症するが、主に高齢者に多く見られる。米国で肝内胆管がんの診断を受ける人々の平均年齢は70歳、肝外胆管がんは72歳。肝内胆管がんの5年生存率は9%である(全SEERステージ合計)。
 SEERテージとして、米国国立がん研究所の監視・疫学・遠隔成績(Surveillance Epidemiology and End Results; SEER)データベースでは、胆管がんを「限局性」「局所性」「遠隔性」の3つのステージに分類している。
 国立がん研究センターによると、日本における胆管・胆のうがん罹患数は1年あたり約2.2万人,死亡数約1.8万人と報告されている。うち、肝内胆管がんの割合は約10~15%と、希少がんの一つと考えられている。
 胆管がんの主な治療は、手術である。手術で腫瘍の完全摘出ができない場合や手術で切除した組織の端にがん細胞が認められる場合(断端陽性)は、放射線治療と化学療法を考慮する。
 ステージⅢとステージⅣは手術でがんを完全に取り除くことは難しく、標準治療の選択肢は放射線治療、緩和治療、肝臓移植、手術、化学療法、画像下治療に限られている。

 ◆宇津木照洋大鵬薬品専務取締役のコメント

 弊社研究所で創薬されたフチバチニブが、新たな治療選択肢を求めている全世界の胆管がん患者に貢献できる薬剤となれるよう、今後も研究開発を進めていく。

 Martin J. Birkhofer(MD) 大鵬オンコロジーSenior Vice President、Chief Medical Officerのコメント

 局所また転移性肝内胆管がんは、現時点で1次治療後の標準治療が確立されていないことから、患者の予後が不良な疾患である。治療歴のある胆管がん患者の治療にフチバチニブが貢献できる可能性をFDAに理解してもらえたことを嬉しく思う。
 全世界の胆管がん患者さんへフチバチニブを届けられるよう、我々はFDAや他規制当局との協議を継続していく。

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