新規マラリア感染阻止ワクチン開発でGHIT Fundからの助成決定 愛媛大学と大日本住友製薬

 愛媛大学と大日本住友製薬は31日、米国PATHと3者共同で進めている「新規マラリア感染阻止ワクチンの非臨床開発プロジェクト」が、グローバルヘルス技術振興基金(日本、GHIT Fund)の助成案件に選定されたと発表した。
 愛媛大学と大日本住友製薬は、マラリア発病阻止ワクチンおよびマラリア伝搬阻止ワクチンについても共同研究を実施しており、それぞれの研究がGHIT Fund の助成案件として選定されている。
 同プロジェクトの対象となるワクチン製剤は、PATH が保有する高品質な新規熱帯熱マラリア抗原(flCSP)と、大日本住友製薬が持つ新規ワクチンアジュバント(TLR7 アジュバント:DSP-0546E)で構成された蚊からヒトへの原虫感染サイクルを断つことのできるマラリア感染阻止ワクチン候補製剤である。同剤が上市されれば、次世代感染阻止ワクチンとして、マラリア撲滅に向けた切り札となる可能性がある。
 マラリアは、蚊で媒介される寄生虫病で、死亡者数は2005年頃から減少傾向に転じたが、2019年には依然として世界で2億人以上がマラリアに罹り、死亡者数も40万人以上に及んでいる(出典「World Malaria Report 2020」)。
 マラリア対策の切り札としてワクチン開発がこの 40 年間以上取り組まれてきたが、蚊からヒトへの感染を防ぐ第一世代のマラリアワクチンRTS,S/AS01によってマラリア患者が約40%減少し、重症マラリア患者は約30%減少したが、より有効な次世代マラリアワクチンが切望されている。
 同プロジェクトは、2021 年4月から1年6ヶ月の間、PATHが代表者としてプロジェクト全体を管理し、抗原タンパク質の提供、比較対照としての RTS,S/AS01 ワクチンの提供、非臨床試験のデータ解析を担当する。
 愛媛大学は、同剤が誘導する抗体の機能評価を、大日本住友製薬はアジュバント製剤の提供や非臨床評価を担当する。3者は、同プロジェクトの終了後に、同剤の前臨床試験を開始する予定である。

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