リーディングテックは、『コロナワクチンに関する意識調査』の結果を公表した。同調査は、全国の18歳以上の男女を対象としており、回答依頼を受け取った1605人の74.8%にあたる1200人から有効回答を得たもの。調査では、①コロナワクチン接種「希望する」は63%、「希望しない」は37%②年齢が若いほどワクチン接種に消極的③SNSでコロナ情報を収集している人はワクチン接種に消極的ーなどが主な結果となった。
調査の設問内容と結果は、次の通り。
◆コロナワクチン接種を希望するか
図1は、新型コロナウイルスのワクチン接種意向を円グラフで表したもので、コロナワクチン接種を希望する人は全体の62.8%となっており希望しない人を上回ってはいるものの、残りの37.3%は接種を希望していないことが分かった。
◆コロナワクチン接種を希望するか(年齢別)
図2は、コロナワクチン接種意向を年齢別に表したもの。これによると若い世代ほどワクチン接種を希望しない人が多く、年齢が上がるにつれて希望する人が多くなる傾向が読み取れる。
このように若い世代ほどワクチン接種に消極的になる原因として、コロナ発症時の重症化リスクの年齢差が考えられる。
コロナウイルスは、高年層と比べて若年層の重症化リスクが低いと言われており、これが年齢別の回答状況に影響しているものと推察される。
また、別の要因として情報ソースの違いも考えられる。高齢者層が主に利用していると思われるマスメディアは、SNSと比べて比較的中立的な報道が多い。
一方、若〜中年層が利用するSNSの一部のコミュニティは思想が偏る傾向にあり「コロナはただの風邪」「ワクチンは危険」といった情報も出回っているため、そのような情報に頻繁に接する若〜中年層がワクチン接種を「希望しない」と回答している可能性がある。
◆コロナワクチン接種を希望するか(情報経路別)
SNSでコロナ情報を収集している人はワクチン接種に消極的
図3は、コロナワクチン接種意向をコロナ情報入手経路別にまとめたものだ。
これによると、先述した通りマスメディアで情報収集している層よりも、SNSやブログ等を通じて情報収集している層の方がワクチン接種に消極的であることが伺える。
SNSやブログ等で情報収集している人がワクチン接種に消極的になる原因として、「個人が簡単に情報発信できるため科学的裏付けのない情報も出回りやすい」「フォロー・RSS機能等によって自分と似た考え方の情報とばかり接することにより思想が過激化しやすい(エコーチェンバー現象)」といったことが考えられる。
さらに、その中でも特に「Instagram」および「ブログ」の利用者における「ワクチン接種を希望しない」の割合が多くなっている。
これはSNSの特性に加えて、「twitter等よりも情報発信が一方方向になりがちで議論や反論が起きにくい」というInstagramやブログの性質に起因している可能性がある。
世帯人数が多いほどワクチン接種に積極的
◆コロナワクチン接種を希望するか(世帯構成別)
図4は、コロナワクチン接種意向を世帯構成別に表している。これによると、世帯人数が多くなるにつれてワクチン接種に積極的な人の割合が増加することが分かる。
家庭内感染リスクを意識してワクチン接種を希望する人が一定数いることが伺える。
喫煙者の方がワクチン接種に消極的
◆コロナワクチン接種を希望するか(喫煙の有無別)
図5は、コロナワクチン接種意向を喫煙の有無別に表したものだ。
喫煙者は非喫煙者と比べて「希望する」の割合が3.5ポイント低い結果となった。一部メディアで、コロナ重症化の一因として喫煙が指摘されているにもかかわらず、喫煙者の方がワクチン接種に消極的である原因のひとつとして、もともと喫煙者の健康意識が低い可能性が挙げられる。
基礎疾患がある人の方がワクチン接種に積極的
◆コロナワクチン接種を希望するか(基礎疾患の有無別)
図6は、コロナワクチン接種意向を基礎疾患の有無別に表している。
基礎疾患を持つ方は持たない人よりも「希望する」の割合が7.8ポイント高い結果となった。これは、基礎疾患を有する方はコロナの重症化が起きやすいと言われているためだと考えられる。
なお、喫煙者は重症化しやすいと報道されているにもかかわらず「希望する」の割合が低くなっているが、喫煙者は自発的に喫煙をしているため健康意識が比較的低い。
これに対し、基礎疾患を持つ人は、自発的に基礎疾患を有しているわけではないため健康意識が低いわけではないといった背景が調査結果に影響しているものと考えられる。
「自分は重症化すると思う」と考える人の方がワクチン接種に積極的
◆コロナワクチン接種を希望するか(重症化意識別)
図7は、コロナワクチン接種意向を「自分は重症化すると思うか?」という質問の回答別に表したもの。
「重症化すると思う」と回答した人の方が、「重症化しないと思う」と回答した人に比べてワクチン接種を希望する割合が5.9ポイント高い結果となった。
身の回りにコロナ感染者がいる人の方がワクチン接種に消極的
◆コロナワクチン接種を希望するか(知人感染者の有無別)
図8は、コロナワクチン接種意向を「身の回りでコロナ感染者を知っているか?」という質問の回答別に表している。
身の回りにコロナ感染者がいる人の方が、いない人と比べてワクチン接種を希望する割合が1.2ポイント低い結果となった。
1.2ポイントでは、有意な差とは言い難いものの、原因として身近にコロナ感染者がいる人は元々コロナ対策意識が薄いコミュニティに属していたり、身近な感染者の様子を目撃してむしろコロナに対する危機意識が低下したりといった背景がある可能性もある。
◆コロナワクチン接種を希望する理由
図9は、コロナワクチン接種を「希望する」と回答した人に対してその理由を尋ねた結果を示している。
最も多い回答は「自分の予防」で48.6%、次いで「周りの人の予防」で45.5%となっている。
◆コロナワクチン接種を希望しない理由
図10は、コロナワクチン接種を「希望しない」と回答した人に対してその理由を尋ねた結果である。
最も多い回答は「副作用が怖い」で45.0%、次いで「予防効果が疑わしい」で23.8%、「体内に異物を入れたくない」で9.2%となっている。
なお、同調査結果におけるワクチン希望者は、実態よりも少なくなっている可能性が高い可能性がある。予算や調査規模の事情でサンプリングバイアスを排除しきれておらず、特に年齢の分布が若い世代に偏っているためだ。
若い世代では、ワクチン希望者が少ない傾向にあるため、同データはワクチン希望者が全体的に少なめに出る可能性を念頭に置いた上で参照する必要がある。同調査における年齢分布、世帯収入分布、職業は下図の通り。
なお、より詳細な情報や高画質な画像データは、https://leading-tech.jp/wiseloan/covid-19-vaccine/に掲載している。