武田薬品は8日、ゴーシェ病治療用酵素製剤「ビプリブ」について、3月5日に保険医が投与できる注射薬の対象薬剤に追加されまたと発表した。
今回の追加は、在宅自己注射の対象薬剤に係る運用基準(昨年12月23日中医協総会において承認)および本年1月27日付の日本先天代謝異常学会からの要望書等を踏まえて行われたもの。ビプリブを含むライソゾーム病(LSD)8疾患に対する11製剤が追加された(本年2月10日中医協総会了承)。
日本先天代謝異常学会からの要望書には、「LSDの患者は定期的な投与が必要で通院の負担が大きい」、「欧州、南米・北米の諸国などでは酵素補充療法は在宅医療の対象となっている」、「新型コロナウイルス感染拡大下において通院に伴う感染リスクに対する患者の不安がある」ことが背景として記載されている。
ゴーシェ病は、LSDとして知られる遺伝性の希少疾患の一種で、フランスの医師のPhilippe Gaucher(ゴーシェ)によって1882年に発見された。先天的な酵素(グルコセレブロシダーゼ)の活性低下あるいは欠損により、糖脂質(グルコセレブロシド)が組織に蓄積し、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨症状、神経症状などが主な症状となるスフィンゴ糖脂質蓄積症の1つである。
ビプリブは、ゴーシェ病に対する酵素補充療法を目的としたヒトグルコセレブロシダーゼの酵素製剤で、ライソゾームに蓄積したグルコセレブロシドを分解する。
効能・効果は「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善」。ビプリブは、遺伝子活性化技術によりヒト細胞株から産生され、ヒト生体内酵素であるグルコセレブロシダーゼと同一のアミノ酸配列を有している。
糖鎖修飾として高マンノース型糖鎖が付加されており、in vitro試験で標的であるマクロファージへの取り込み能の増加が認められている。