アストラゼネカは15日、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが、世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL: Emergency Use Listing)に追加されたと発表した。
同ワクチンは、65歳以上を含む18歳以上の成人における新型コロナ感染症予防のための能動免疫を獲得するためのもの。
アストラゼネカが製造するCOVID-19 Vaccine AstraZenecaと、セラム・インスティチュート・オブ・インディア(Serum Institute of India)が製造するCOVISHIELDの緊急使用承認により、パンデミック期間中このワクチンへの世界的なアクセスが可能になる。
EULは、4週から12週の間隔で同ワクチンの2回接種を可能としている。この接種間隔は、臨床試験により症候性新型コロナウイルス感染症予防のために安全かつ有効であることが示されており、2回目の接種後15日以降、同疾患による入院ならびに重症例の報告はない。
WHOの予防接種に関する戦略的諮問委員会(SAGE)は、8週から12週の接種間隔での本ワクチンの使用を推奨している。また、同委員会は南アフリカのB1.351変異株を含む新たな変異ウイルスが流行している国々においても、アストラゼネカのワクチン使用を推奨している。
これを受け、アストラゼネカとセラム・インスティチュート・オブ・インディアは、COVAXファシリティと協力し世界中へ同ワクチンの供給を開始するが、その大半は可及的速やかに低・中所得国に配布される。供給および運用上の課題が解決されれば、COVAXを通じて145カ国に同ワクチンの3億回分以上が、2021年上半期中に供給されると期待されている。なお、これら接種分は、COVAXの分配の枠組みに従って公平に分配される。
パスカル・ソリオアストラゼネカCEOは、「この度の承認は、新型コロナウイルスの異なる変異株が流行している国々において、65歳以上の成人を含む世界中の人々を防御するために本ワクチンが使用可能であることを是認している」と説明。
さらに、「これは、当社のワクチンへの世界的なアクセスの確保、ならびにパンデミック期間中は営利を目的とせず広範かつ公平なアクセスを行うという当社の公衆衛生上の誓約の遂行に向けた極めて大きな一歩である」とコメントしている。
アストラゼネカは、パンデミック期間中は営利を目的とせず可能な限り多くの国々に当社が開発する新型コロナウイルス感染症ワクチンの供給を誓約している。2020年6月、同社はセラム・インスティチュート・オブ・インディアとの低・中所得諸国に対する同ワクチンの最大10億回分の製造と供給に関するサブライセンス契約を発表した。
20020年6月、同社はグローバル医薬品企業としては初めてCOVAXに加盟した。この国際機構は、新型コロナウイルス感染症に対抗する新たなツールの開発と生産を加速し、所得水準を問わず世界中のすべての加盟国に対して公平なアクセスを可能とするために尽力している。
なお、アストラゼネカの新型コロナウイルス感染症ワクチンは、通常の冷蔵温度(摂氏2~8度)で最低6カ月間保管、輸送および管理が可能であり、既存の医療体制において投与できる。