大日本住友製薬は9日、抗がん剤として開発中のナパブカシン(BBI608)の結腸直腸がんを対象としたP3 試験(CanStem303C試験)で、主要評価項目である全生存期間(OS)延長を達成しなかったと発表した。
大日本住友製薬は、同試験の結果や最近の業績動向を踏まえて2021年 3月期連結業績予想を見直し中であり、業績予想を修正した場合は速やかに公表する。
CanStem303C試験は、前治療歴のある進行性の結腸直腸がん患者1253名を対象とした多施設共同、ランダム化、オープンラベルの国際共同P3試験で、ナパブカシンとFOLFIRI(フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカンの併用)の併用群またはFOLFIRI単独投与群に1対1に分け、ナパブカシン240㎎を1日2回経口投与した際の有効性および安全性を検討したもの。FOLFIRI 併用下では医師の判断によって両群にベバシズマブが投与された。
主要評価項目は、全集団およびpSTAT3陽性集団における全生存期間(OS)である。重要な副次評価項目は、全集団およびpSTAT3 陽性集団における無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、奏効率(ORR)。
安全性プロファイルはこれまでのナパブカシンの臨床試験結果と一貫していた。同試験結果の詳細は、今後、学会等で公表される予定だ。
ナパブカシンは、大日本住友製薬の子会社であるスミトモダイニッポンファーマオンコロジー・インク(旧ボストン・バイオメディカル・インク)が創製し、抗がん剤として開発中の経口剤。
がん細胞に発現する酵素NQO1により生体内活性化を受け、活性酸素種を産生することでSTAT3を含むがん幹細胞性やがんの増悪に関わる経路を阻害し、最終的にがん細胞を死滅させる抗がん剤として期待されていた。