新型コロナウイルス変異株解析の確立を継続的に推進  キアゲン

 キアゲン(本社:オランダ)は27日、新型コロナウイルスの検出にはPCRテストが引き続き有効で、世界中で脅威となっている新型コロナウイルス変異株解析の確立を継続的に目指すと発表した。同社は、公共データベースである GISAID、GenBank に登録されている新型コロナウイルス変異株の遺伝子変異を昨年5月より解析している。
さらに、本年1月時点でのデータ再解析も実施し、キアゲンの解析感度は新型コロナウイルス変異株の遺伝子変異解析に影響はないことを確認。現時点でも2 週間ごとに遺伝子変異の解析を行っている。
 Davide Manisseroキアゲンチーフメディカルオフィサー(M.D)は「我々の3種類のPCRテストは、いずれの新型コロナウイルス変異株の検出に対しても有効である。PCRは、今後SARS-CoV-2のようなRNAウイルスの検出において標準的手法であることを喜ばしく思う」と強調。
 その上で、「今後世界中で進む SARS-CoV-2 RNA のシーケンシングは、リスクが高いと考えられる変異株遺伝子変異情報の、国際間での透明性の確保とデータベース化に伴い、ワクチン開発・接種やコロナウイルス検出テストに貢献するだろう」と述べている。
 伝搬力が高いと考えられている新型コロナウイルス変異株には、VUI 202012/01株(英国で最初に検出された株)、501Y.V2株(南アフリカで同定された株)、さらにB.1.1.28 P1(最近ブラジルで発見された株)などがある。
 SARS-CoV-2は、RNAウイルスのため、ウイルスゲノムの複製の際に遺伝子変異を頻繁に起こす。これらの遺伝子変異は異なる特性を持つ可能性があり、ときには新規の株として認識される。
 リスクが高い可能性のある変異株の検出・特定に関して、ドイツや米国といった国々は SARS-CoV-2陽性の検体のシーケンシングを拡充し、遺伝子変異の発生をモニタリングしている。
 昨年8月、キアゲンはこの包括的なモニタリングを目的とするシーケンシングに向けてQIAseq SARS-CoV-2ソリューションの提供を開始した。
 これは、SARS-CoV-2ターゲットパネル、QAIseq FX ライブラリーキット、そしてバイオインフォマティクスであるQDI(QIAGEN Digital Insights)の解析ソフトウェアを包含したソリューションである。このソリューションは既知の、また新規の SARS-CoV-2ゲノムの遺伝子変異の解析を可能にする。
 Center of Genomics at the School of Medicine(Loma Linda University、米国カリフォルニア)は、数種の新型コロナウイルス変異株のゲノムシーケンスにおいて、このキアゲンソリューションを評価した論文を最近発表した。
 その論文は、鼻咽頭スワブをサンプルとしたものである。QIAseq SARS-CoV-2 プライマーパネルによるSARS-CoV-2ゲノムのターゲット増幅は、ヒトゲノムやヒト由来のバクテリアゲノムをサンプルとした場合に比較して100倍くらいのカバレッジであることを結果として示している。

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