小野薬品は25日、オプジーボとカボメティクスの併用療法について、FDAが、進行腎細胞がん(RCC)のファーストライン治療薬として承認したと発表した。同社と戦略的提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が現地時間の22日に公表したもの。
今回承認された併用療法は、オプジーボ240mgを2週間間隔または480mgを4週間間隔で点滴静注し、カボメティクス40mgを1日1回の経口投与で、承認は、進行RCC患者を対象に、オプジーボとカボメティクスの併用療法群(323例)をスニチニブ群(328例)と比較したP3相CheckMate-9ER試験に基づいている。
今回の申請は、一刻も早く安全かつ有効な治療を患者に届けることを目的とするFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で審査された。
CheckMate-9ER試験の主要評価項目は、盲検独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)である。副次評価項目は、全生存期間(OS)およびBICRの評価による奏効率(ORR)であった。
同試験において、オプジーボとカボメティクスの併用療法を受けた患者では、スニチニブ群の患者と比較して、PFSが2倍に延長された[併用療法群のPFS中央値:16.6カ月;95% 信頼区間(CI):12.5 – 24.9] vs [スニチニブ群のPFS中央値:8.3カ月; 95% CI:7.0 – 9.7]、[ハザード比(HR):0.51;95% CI:0.41 – 0.64、P<0.0001、追跡期間の中央値:18.1カ月;範囲:10.6 – 30.6カ月]。
オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、スニチニブ群と比較して、死亡リスクを40%低減した[HR:0.60;98.89% CI :0.40 – 0.89、P=0.0010]。OSの中央値は、オプジーボとカボメティクスの併用療法群で未達、スニチニブ群で評価不能(範囲:22.6カ月-NR)。
また、オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、スニチニブ群と比較して、より多くの患者で奏効を示し、ORRは、併用療法群で55.7%(323例中180例、95% CI:50.1 – 61.2)、スニチニブ群で27.1%(328例中89例、95% CI:22.4 – 32.3、P<0.0001)であった。
併用療法群では、完全奏効率は8.0%(323例中26例)、部分奏効率は47.7%(323例中154例)を示したのに対し、スニチニブ群の完全奏効率は4.6%(328例中15例)、部分奏効率は22.6%(328例中74例)であった。奏効した患者における奏効期間の中央値は、併用療法群で20.2カ月(95% CI:17.3 – NA)、スニチニブ群で11.5カ月(95% CI:8.3 – 18.4)であった。
PFSの結果は、国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(IMDC)リスク分類およびPD-L1発現レベルに基づき、あらかじめ設定された全サブグループで一貫していた。
同試験におけるグレード3以上の副作用の発現率は、オプジーボとカボメティクスの併用療法群とスニチニブ群で同等であった(75% vs 71%)。オプジーボまたはカボメティクスの投与の中止につながる原因を問わない副作用は、患者の19.7%で発現した。
オプジーボ単剤では6.6%、カボメティクス単剤では7.5%、同時に発現した同じ副作用が併用では5.6%発現した。
KidneyCANプレジデントで共同創設者のBryan Lewis氏は、「ここ数年で、進行腎臓がんの治療は大きく進展したが、治癒の可能性を求める中で、患者はより多くの治療選択肢をいまだ必要としている。進行腎臓がんを抱えながらより長く生きられるようになったことで、新しい治療法の安全性と有効性がますます重要になっている」と指摘。
その上で、「CheckMate -9ER試験で示されたオプジーボとカボメティクスの併用療法の結果から、今回のFDAの承認は、患者コミュニティにとって特に注目すべき進展であると言える」と強調している。
また、Adam Lenkowsky BMSがん・免疫疾患・心血管疾患担当・米国責任者兼ゼネラルマネジャーは、「オプジーボとヤーボイの併用療法は、中および高リスクの進行RCC患者の治療薬として確立されているが、本日の承認により、オプジーボとの併用療法の持つ可能性を、さらに多くの患者さんに届けられるようになる」と明言。さらに、「オプジーボとカボメティクスの併用療法は、両剤の確固たる実績を一つにし、医師に、免疫療法薬とチロシンキナーゼ阻害剤の併用レジメンが適格な進行RCC患者に予後の改善をもたらし得る新しい併用療法を提供する」とコメントしている。