小野薬品とヘルシン社(本社:スイス)は22日、小野薬品がグレリン様作用薬エドルミズについて、がん悪液質の効能効果で国内製造販売承認を取得したと発表した。適応の対象となるがんは、悪性腫瘍(非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌)におけるがん悪液質。
今回の承認は、国内でがん悪液質患者を対象に実施した次の2つの臨床試験の結果などに基づいている。
①非小細胞肺癌におけるがん悪液質患者を対象にプラセボを対照とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較P2相臨床試験(ONO-7643-04)
②胃癌、膵癌および大腸癌におけるがん悪液質患者を対象にした多施設共同非盲検非対照第Ⅲ相臨床試験(ONO-7643-05)
がん悪液質は、がんに伴う体重減少(特に筋肉量の減少)や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群である。がん悪液質は患者の生活の質(QOL)や予後などに対して顕著な影響を及ぼすことがわかってきているが、未だがん悪液質に有効な治療手段は確立されていない。
エドルミズは、選択的かつ新規の経口グレリン様作用薬で、グレリンは、主に胃から分泌される内在性ペプチドである。グレリンがその受容体に結合すると、体重、筋肉量、食欲および代謝を調節する複数の経路を刺激する。
アナモレリンは、がん悪液質の患者における体重および筋肉量の増加並びに食欲の増加効果を示している。
出光清昭小野薬品常務執行役員開発本部長は、「エドルミズの承認取得により、これまでに承認された治療法がなかったがん悪液質の患者に新しい有望な治療選択肢を届けられるのと期待している」とコメント。
一方、Riccardo Bragliaヘルシン社副会長兼CEOは、「小野薬品が、本剤について日本でがん悪液質の適応の承認を取得したことを嬉しく思う。これは、依然として十分な治療を受けられないがん悪液質の患者の生活の質の改善に向けた重要なマイルストンである」と強調する。