武田薬品は25日、多発性骨髄腫を疑似体験するアプリケーション「Being Patientプログラム」(Being Patient)を導入し、その結果を共有する「日本骨髄腫患者の会」への報告会を実施したと発表した。同プログラムは、多発性骨髄腫および罹患した患者の治療上の困難について理解を深めることを目的としたもの。
報告会では、代表の上甲恭子氏が、「多発性骨髄腫患者が抱えている問題および同患者会が取り組んでいる活動」などについて講演した。「Being Patient」は、武田薬品オンコロジービジネスユニット(米国:ボストン)が多発性骨髄腫患者の実体験をもとに開発したプログラムで、今回は日本オンコロジー事業部から 75 名が参加した。
同報告会では、「診断、治療、再発の過程における精神的な不安の大きさ」、「治療中の副作用として生じる末梢神経障害の日常生活における影響」、「仕事と治療を両立させるうえでの経済的な問題」、「医療従事者とのコミュニケーションにおける課題」等のプログラムの参加者の気づきについて報告。
上甲氏は、「多発性骨髄腫の患者の治療経過、症状、悩みは一人ずつ違う。今回のBeing Patientプログラムを通して、患者の立場に立ち、患者が日常的に直面する困難に対して理解を深める一助となったことを嬉しく思う」とコメント。さらに、「患者を支えあうメンバーのひとりとして、がんと闘っている患者のために一日も早く新しい治療薬を届けていただけることを心から願っている」と訴えかけた。
堀井貴史武田薬品日本オンコロジー事業部長は、「我々は今回、Being Patient プログラムを通して患者の視点から多発性骨髄腫やその治療の一端を学んだ」と強調。その上で、「異なる環境の中でがんと向き合っておられるすべての患者のより良い治療のために、製薬企業としてどのような貢献が可能かを追求するとともに、全従業員が患者を中心に考えるという価値観を大切に引き続き活動していくたい」と抱負を述べる。
「Being Patient」には、これまで10ヵ国以上で約 400名が参加している。参加者は、アプリケーションと専用の付属キットを用いて、平均10日間かけて、患者さんに生じる身体的・精神的な苦痛を疑似体験する。
なお、同アプリケーションの言語は英語であり、米国の医療環境をベースとして構成されている。武田薬品は、「バリュー」としてタケダイズムを行動指針とするとともに、四つの重要事項である「患者中心(Patient)」、「社会との信頼関係構築(Trust)」、「レピュテーションの向上(Reputation)」、「事業の発展(Business)」をその優先順位に従って考えることで、ミッションを追求している。