タグリッソ 米国で早期肺がん術後補助療法の承認取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカは23日、タグリッソについて、米国で早期肺がん術後補助療法の治療薬として承認を取得したと発表した。対象疾患は、治癒的腫瘍切除後の早期ステージの非小細胞肺がん(NSCLC)で上皮増殖因子受容体変異陽性(EGFRm)の成人患者。
 同剤は、承認された検査にてエクソン19欠失型またはエクソン21 L858R点突然変異が確認されたEGFRm患者に適応となる。
 今回の承認は、FDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムのもとで対応されており、米国のほかに5カ国が、FDAが主導するプロジェクトOrbisを通じて、このプロジェクトでの申請・審査プロセスに参加した。
 NSCLC患者のおよそ30%は、治癒切除可能な早期ステージに診断される。だが、術後再発率は未だ高く、ステージIB期でも診断された半数近く、ステージIIIA期では4分の3以上もの患者が5年以内に再発を経験する。
 今回の米国における承認は、タグリッソが主要評価項目であるII期およびIIIA期のEGFRm NSCLC患者における無病生存期間(DFS)、ならびに重要な副次評価項目の1つである全症例(IB~IIIA期)のDFSにおいても、統計学的に有意で、かつ臨床的に意義のある延長を示したP3相DAURA試験のデータに基づいている。
 タグリッソによる術後補助療法は、ステージII期およびIIIA期の患者における主要評価項目であるDFSにおいて、疾患の再発または死亡のリスクを83%低下させた(ハザード比0.17; 95%信頼区間[CI]0.12~0.23; p<0.0001)。
 また、全症例(IB~IIIA期)におけるDFSにおいては、タグリッソが再発または死亡のリスクを80%低下させた(ハザード比0.20; 95%CI 0.15-0.27; p<0.0001)。
 さらに、2年経過時点における全症例(IB~IIIA期)の無病生存率は、タグリッソ投与群の患者の89%に対し、現行の標準治療であるプラセボ投与群では52%であった。同試験におけるタグリッソの安全性および忍容性は、転移を有する患者を対象としたこれまでの試験と一致していた。
 タグリッソは、本年4月、独立データモニタリング委員会より、顕著な有効性を示したとして、ADAURA試験の非盲検化を予定より2年早める勧告を受け、7月30日、FDAより画期的治療薬に指定された。
 なお、被験者は試験を継続中であり、現在も本試験の盲検は維持されている。ADAURA試験のデータは、2020年5月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された。
 今回の米国における薬事申請は、安全で効果的な治療をできるだけ早く患者に届けることを目的とした米国のRTORパイロットプログラムの下で審査された。
 なお、今回の審査においては、国際的なパートナー間でオンコロジー治療薬の同時申請および審査の枠組みを提供するFDA Oncology Center of Excellence主導によるプロジェクトOrbisを通して、5カ国の保健当局がFDAと協力している。
 同プロジェクトには、カナダ保健省、オーストラリア薬品・医薬品行政局、ブラジル国家衛生監督庁、連邦内務省スイス医薬品局、シンガポール保健科学局が参加しており、英国医薬品医療製品規制庁がオブザーバーとして審査に加わっている。
 中国においても、ADAURAP3試験に基づいて、EGFRm早期NSCLC患者の術後補助療法としてタグリッソの優先審査が行われている。同適応症は、欧州においても規制当局による審査が行われており、その他各国での追加承認申請に向けた議論が進行中である。
 ちなみに、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの術後補助療法に対するタグリッソの適応は、本邦では未承認である。

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