塩野義製薬は22日、グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社のVocabria(一般名:カボテグラビル)が、欧州で初となる長期作用型のHIV-1感染症治療薬として欧州委員会(European Commission)より承認を取得したと発表した。
Vocabriaはカボテグラビルの注射剤および錠剤であり、ヤンセン社のRekambys(リルピビリン注射剤)およびEdurant(リルピビリン錠)との併用で治療に用いられる。
同承認は、既存の3剤経口レジメンの1日1回投与によりウイルス抑制が達成されているHIV感染患者を対象として、カボテグラビルおよびリルピビリンの注射剤を月1回投与するATLAS試験、同様の患者を対象にカボテグラビルおよびリルピビリンの注射剤を2ヵ月に1回投与するATLAS-2M試験、および、治療歴のないHIV感染患者を対象としたFLAIR試験の良好な結果に基づいている。
Vocabria(カボテグラビル注射剤)とRekambysは、医療従事者により臀部に2回個別に筋肉内注射(IM)として投与される。注射剤による治療開始前に、Vocabria(カボテグラビル錠)およびEdurantを約1ヵ月(最低28日間)経口投与し、両剤に対する忍容性を確認する。
欧州におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの長時間作用型レジメンの承認は、カナダにおける承認取得に続くもの。米国では、カボテグラビルとリルピビリンの月1回投与の新薬承認を本年7月にFDAに再申請している。その他の諸外国でも承認申請し、各国の規制当局により審査中である。
HIV感染症は今なお国際社会における大きな課題だ。2019年末時点において推定3800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染している。
塩野義製薬は、今後もヴィーブ社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化を貢献する。
なお、同件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微である。