ワクチンは順調に進捗・新型コロナ感染症への取り組みを報告     塩野義製薬

 塩野義製薬は18日、新型コロナウイルス感染症に関する取り組みの進捗状況について報告した。 同社では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な蔓延による社会の混乱が続く中、医薬品の安定供給に努めるとともに、感染症を重点疾患領域に掲げる製薬企業として、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬やワクチン、診断薬の開発に鋭意取り組んでいる。
 治療薬の創製に向けた取り組みでは、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターおよび国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と連携し、SARS-CoV-2株に対する有望化合物について評価を進めている。
 有望化合物の開発では、非臨床試験で有効性と安全性のさらなる検証が必要と判断し、2020年度内の臨床試験開始目標を見直している。塩野義製薬では、引き続き、同化合物の開発可否判断に向けた有効性、安全性に関する精査に取り組む。さらに、次のパンデミックも見据え、SARS-CoV-2以外のコロナウイルスにも有効な治療薬の創製に向けて、低分子やペプチド、抗体等の様々な創薬モダリティを活用し、同創薬研究を精力的に展開していく。
 次に、同社が国立感染症研究所、京都大学との共同で開発中の遺伝子組換えタンパクワクチンについては、今月より国内におけるP1/2相臨床試験を開始しました。
 臨床試験の実施と並行して、同社は2021年末までに3000万人分以上のワクチン生産体制の整備を目標に、引き続き生産設備の構築・増強ならびに大量生産に向けた製造方法の最適化に取り組んでいく。
 診断薬の開発に向けた取り組みでは、日本大学、群馬大学、および東京医科大学とのSARS-CoV-2を含むウイルスの新規迅速診断法に関するライセンス契約に基づき、同共同研究チームが開発した革新的核酸増幅法SATIC法を用いたSARS-CoV-2感染に対する迅速診断の実用化に取り組んでいる。
 SATIC法のユニークな原理と優れた特性を活かし、体外診断用医薬品として医療現場等のニーズに1日も早く応えられるよう開発を進めているが、種々の社内検討の結果、高感度かつ安定的な反応を得るためには、反応試薬の一部改良が必要との判断に至った。
 試薬の改良に伴い、各反応工程への影響の確認ならびに改良試薬のスケールアップ検討が必要となることから、今回、初期型製品の年内提供開始目標を見直し、新たな開発計画を策定するに至った。
 塩野義製薬は、用時混合調製タイプの初期型製品の開発に引き続き注力するとともに、一般の医療機関等においても広く活用できるように、より簡便かつ多検体の迅速診断を可能とする改良型キットの早期提供に向けた製品開発ならびにスケールアップ検討を並行して進めていく。
 なお、同社は、既感染者数の把握を目的としたSARS-CoV-2/COVID-19の疫学調査や研究などに役立てるために、新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キット(20テスト/キット)を研究用試薬として販売している。

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