maribavir 移植後のCMV感染治療薬P3試験で好結果 武田薬品

 武田薬品は7日、移植後の難治性/抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)感染治療薬TAK-620(一般名:maribavir)の有効性および安全性を評価するP3試験(TAK-620-303[SOLSTICE]試験、NCT02931539)で、主要評価項目、 主な副次的評価項目を達成したと発表した。
 TAK-620-303試験は、既存の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1剤またはその併用)に難治性または抵抗性のCMV感染に罹患する移植後の患者を対象に、maribavirまたは治験責任医師が認めた治療法(IAT)のいずれかを8 週間投与して比較する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照試験。
 SOLSTICE試験では、IATとの比較において、投与8週終了時に、CMV血症が消失した患者の割合と定義される主要評価項目を達成した。また、投与8週終了時に達成し、さらに投与16週まで維持されたCMV血症の消失および症状コントロールと定義される主な副次的評価項目も達成した。
 新たな安全性シグナルは確認されず、maribavirはIATと比較して好中球減少症の発生率の低さと関連していた。武田薬品は、今後の学会でSOLSTICE試験のデータを発表する予定。
 maribavirは経口投与可能な抗CMV化合物であり、現在、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HSCT)の両移植後のCMV感染患者の治療薬としてP3相試験が実施されている唯一の抗ウイルス剤である。
 maribavirは、FDA、欧州医薬品庁(EMA)やその他の規制当局によって承認されていない開発中の治療薬。欧州委員会から、細胞性免疫障害を有する患者のCMV感染症治療薬として、またFDAからは臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けている。
 希少かつ生命にかかわる疾患の治療または予防を目的とした特定の治験薬は、希少疾病用医薬品として指定を受ける。FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者への治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っている。Breakthrough Therapy指定により、重篤な疾患に対して既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性のある臨床データを有する治験薬の開発ならびに評価が推進される。この指定は、FDAやEMAの移植患者におけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定である。
 武田薬品Vice PresidentでMaribavir Global Program LeaderのObi Umeh氏は、「既存の治療法に反応しない、あるいは有害事象が発現した移植患者では、移植の失敗や死亡などを含めウイルスによる合併症のリスクがより高いと考えられている。maribavirは、治療制 限毒性を減らしてウイルス除去助けることで、移植後のCMV感染の管理を再定義する可能性を秘めている」と説明。
 さらに、「maribavirを患者に届けるため、FDAや欧州医薬品庁など世界の保健当局と、これらのデータについて話し合うことを待ち望んでいる」とコメントしている。

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