アストラゼネカは26日、SGLT-2阻害薬の2型糖尿病治療薬フォシーガについて、P3相DAPA-CKD試験の新たなサブグループ解析で、心血管疾患の既往の有無に関わらず慢性腎臓病患者の心血管および腎臓への効果が示されたと発表した。
フォシーガは、DAPA-CKD試験の新たなサブグループ解析において、心血管疾患既往の有無に関わらず、糖尿病合併および非合併の慢性腎臓病患者の腎機能の悪化、心血管死または腎不全による死亡による主要複合評価項目を、プラセボと比較して39%低下させた。
ベースライン時に心血管疾患既往のある患者および既往のない患者の絶対リスク低下は、それぞれ 6%および 5%であった(交互作用の p 値=0.90)。
同サブグループ解析は、ベースライン時に心血管疾患既往のない患者(一次予防の患者:試験参加者の 37.4%)および既往のある患者(二次予防の患者:試験参加者の 62.4%)を対象に、試験の主要評価項目である腎機能の悪化、心血管死または腎不全による死亡、ならびに副次評価項目を評価した。
ベースライン時において、二次予防患者は、一次予防患者より高齢で、男性、喫煙者が多く、平均収縮期血圧とBMIが高い特徴があった。加えて、心血管疾患既往のある患者は、既往のない患者よりも2型糖尿病を有する割合が高い傾向があった。
同試験結果は、本年の米国心臓協会学術集会で発表され、Circulationに掲載されている。DAPA-CKD 試験結果は、今年8月に公表し、The New England Journal of Medicine に掲載された。
また、本年10月には、フォシーガは、米国で2 型糖尿病合併の有無に関わらない慢性腎臓病を対象に、ブレークスルーセラピーに指定された。なお、本邦において、ダパグリフロジンは、慢性腎臓病を効能・効果とする承認は取得していない。
英国グラスゴー大学循環器医学研究所心臓血管研究センター、DAPA-CKD試験実行委員会の委員の John McMurray氏は、「本解析の結果より、最もリスクの高い患者群であっても、腎不全への進行、心血管死、心不全による入院のリスクの低下、ならびに生存期間の延長という、ダパグリフロジンによる一貫した効果があることが示された」と解説。
バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのである Mene Pangalos氏は、「この試験では、慢性腎臓病患者が、全死亡を含む有害な心血管および腎イベントのリスクが高いことを改めて強調している。我々は、フォシーガが、心血管疾患既往の有無に関わらず、患者に一貫した効果をもたらし、より健康な生活をより長く送ることができるよう治療に貢献することを楽しみにしている」とコメントしている。