ゲノム編集技術に強み持つ米国エメンドバイオ買収 アンジェス

　アンジェスは9日、ゲノム編集技術に強みを持つ米国エメンドバイオを2億5000万ドルで買収すると発表した。エメンドバイオは、2015年にゲノム編集能力の拡大を目的に設立されたベンチャー企業。「OMNI ヌクレアーゼの探索及び最適化」、「ヌクレアーゼの最適化、編集戦略の構築、クリスパー、タンパク質工学、細胞治療、合成生物学」、「RNAタンパク質複合体 (RNP)」の実績を有する。合成生物学を駆使して、ゲノム編集の領域で対応できる適応症を拡大し、今まで治療不可能であった疾患の治療を目指している。
　アンジェスは、2019年3月以降、エメンドバイオに約5400万ドルを出資しており、既に同社発行済み株式の40.1％を保有している。今後、12月15日付で、株式交換によって残りの発行済み全株式を取得し、完全子会社化する。また、エメンドバイオには、武田薬品関連企業も出資しているが、買収後も武田薬品とのがん領域での共同開発を継続する。
　アンジェスは、遺伝子治療の技術を使った医薬品やワクチン開発を重点分野として位置付けており、既存の治療法ではアプローチできなかった多くの適応症に対応できるエメンドバイオのゲノム編集技術を導入。遺伝子治療プログラムとゲノム編集プラットフォーム技術を融合して、グローバルマーケットを狙う企業を目指す。
　新たな遺伝子治療薬の創出を目指したグローバル体制について都内で会見したアンジェスの山田英社長は「今回の買収により、当社は遺伝子治療プログラムと次世代ゲノム編集プラットフォーム技術を有する企業になった」と強調。その上で、「いち早く実用化して、米国を含むグローバルでの事業展開を推進し、世界的な遺伝子医薬企業を目指したい」と抱負を述べた。